このシリーズでは、英文法の各テーマにおける「差がつくポイント」を紹介します。
第17回英文法テーマは「否定表現」です。
基本事項を参考書等で理解した上で、知らない内容はぜひご自身の頭の中に追加INPUTしてくださいね。
では、肩の力を抜いてゆる~りお読みください! (by Izu)
<noの使い方の盲点>
※noの基本的な考え方
名詞を伴い、「1つ(人)の可算名詞も~ない」「少しの不可算名詞も~ない」と、数や量がゼロであるという意味をつくる。主語の前にnoをつけると、文全体を否定する。
例文1): No students were absent from the class .
「その授業を欠席した学生は1人もいなかった。」
例文2): There is no water in the bottle .
「そのボトルには水が(少しも)ない。」
※No+単数名詞は○?×?
例): No student was absent from the class .
⇒可算名詞につく場合は、複数形とともに使うことが多いが、このように単数名詞といっしょに使うと「ただの1人たりとも~ない」と強調される。したがって、この文は〇(間違いではない)であり、主語として使う場合は単数扱いになることに注意する。
また、本来1つ(人)しかないような名詞に使う場合は、no+単数形となる。
例): He has no wife .
※noの書き換え
例1): There are no cars on the street .
= There are ( not/not ) ( any/a ) ( cars/car ) on the street .
例2): No students could solve the problem .
= ( Not ) ( a ) ( student ) could solve the problem .
⇒例1の場合はnot + any + 名詞(加算なら複数形)・not + a+ 単数形 どちらで書き換えてもよいが、例2のように文頭の主語にnoがあった場合の書き換えは、not + a + 単数名詞のみとなることに注意!
<準否定語を正しく理解する>
順否定語とは、完全な否定ではなく「ほとんど~ない」「めったに~ない」と程度・頻度・数・量が少ないことを示す語。否定の意味を持つ語なので、notやneverとともに用いたりはしない。また、文中で置く位置は、neverやalwaysと同じである。
◇ hardly / scarcely / (barely) の使い方
この2(3)語は、「(程度が)ほとんど~ない」という意味を表す副詞である。
例): I can hardly speak English . 「私は英語をほとんど話せない。」
× I can’t hardly speak English .
※間違いに気が付く?
誤): She hardly speak Japanese .
⇒ hardlyは副詞の1つなので、この場合動詞はspeaksとなる。
正): She hardly speaks Japanese .
◇seldom/rarelyの使い方
この2語は、「(頻度が)めったに~ない」という意味を表す副詞である。
例): My father seldom comes home before 7 p.m .
「私の父はめったに午後7時前に家に帰ってこない。」
※【hardly/scarcely +ever】または【almost + never】のセットは、seldom/rarelyと同じ意味で使われることに注意。
◇few/littleの使い方
不定冠詞aを用いないで使うと、「(few:数が / little:量が)ほとんどない」という意味になる。very~の形で強調もできる。
一方で、a + few + 可算名詞の複数形で「(数が)少し~」、a + little + 不可算名詞で「(量が)少し~」という肯定の訳し方になる。
例1): There were few children in the park yesterday .
「その公園には子どもはほとんどいなかった。」
例2): I have little time to do the job .
「私はその仕事をする時間がほとんどない。」
※few/littleには代名詞の用法もある。また、littleのみ副詞の用法もある。 ※不定冠詞aがついても同様。
例1): Little is known about the man .
「その人についてはほとんど知られていない。」 ← 代名詞として使用
例2): I slept very little last night .
「昨晩私はほとんど眠れなかった。」 ← 副詞として使用
※[quite a few + 複数名詞] という表現は、「かなり多数の~」という肯定の意味で用いられることに注意。
例): Quite a few people watched the game on TV .
「かなり多くの人が、テレビでその試合を見た。」
<部分否定を正しく理解する>
「まったく~ない」のように、全てを否定する表現を全否定というのに対し、「全てが~という訳ではない」のように一部を否定する表現を部分否定という。
◇ not + all + (of) + 複数名詞 / not + every + 単数名詞 の使い方
allの前にnotを置くことで、notがallを否定し「全てが~という訳ではない/限らない」という部分否定になる。
例1): Not all of them passed the exam .
「彼ら全員がその試験に合格した訳ではなかった。」
例2): Not every student studies hard .
「全ての生徒が一生懸命勉強している訳ではない。」 ← 主語では単数扱い
※All of them didn’t pass the exam . とすると、「全員が合格しなかった」という全否定で伝わってしまいがちなので、部分否定の意味では使わない方がよい。
◇ not + both + (of) + 複数名詞 の使い方
bothの前にnotを置くことで、notがbothを否定し「両方とも~という訳ではない」という部分否定になる。
例): I don’t know both of them .
「私は彼ら2人のどちらとも知っている訳ではない。」
※「両方とも~ない」、という全否定の意味にしたい場合は、neitherまたはnot~eitherの形を使う。
例): 「私は彼ら2人とも知らない。」
⇒ I don’t know either of them . / I know neither of them ,
※not + both ~ / not + either ~ の形は、文頭の主語で使うことはできないことに注意。
◇ その他の部分否定表現
notの後にalwaysやnecessarilyなど常時・完全を表す副詞が続くと、「いつも~という訳ではない」「必ずしも~という訳ではない」のような部分否定になる。
not always ~ / いつも~という訳ではない
not necessarily ~ / 必ずしも~という訳ではない
not completely(entirely) ~ / 完全に~という訳ではない
not quite ~ / まったく~という訳ではない
例1): He is not always free on Sundays .
「彼は日曜日はいつもヒマという訳ではない。」
例2): Your idea is not completely right .
「あなたの考えは完全に正しいという訳ではない。」
<二重否定の代表構文を理解する>
1つの文の中で否定語が2つ使われると、否定の意味が打ち消され、肯定の意味を強める表現になる。
例1): There is no person who doesn’t tell a lie .
「うそをつかない人はいない。⇒ 人は必ずうそをつく。」
例2): He never visits me without bringing a gift .
「彼は私のところに来るときは必ずお土産を持ってくる。」
never/can’t ~ without :「・・・することなく~しない/できない ⇒ ~すると必ず・・・する」
※No one doesn’t know her name . 「彼女の名前を知らない人なんていない。」 は正しい使い方?
⇒関係代名詞などを含まない単文内で、noのような否定語とnotやneverなどの否定の副詞を並べて使ってはダメ!
⇒Everyone knows her name . とするか、もしくは強調構文を使ってeveryoneをさらに強調する、などのような表現を使う。
第17回「否定表現」は以上です。
基本理解の上に差がつくポイントを積んで、アナタも「高校英語の文法マスター」になろう!