こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学のカンどころ、勉強ポイントを紹介する
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅱ 式と証明 その3 多項式の計算(余り付き割り算編)
です。
まずは、用語について注意を。
教科書では「整式」という言葉が使われていますが、
この記事では「整式」のことを「多項式」と言います。
(注1 この記事だけでなく、このシリーズを通してこう呼びます。)
(注2 正方形が四角形の仲間であるように、単項式も多項式の仲間とみます。)
(注3 専門的には、「多項式」と表現する方が普通ではないでしょうか。)
今回は、多項式の計算です。
扱うのは、
多項式の余り付き割り算
多項式/多項式の分数計算
恒等式
です。
この3つの話題は、それぞれ関連性があります。
そのため、まとめて計算練習をするのがオススメです。
どの計算も、入試問題で頻出です。
計算問題そのものが出されるというより、
実戦的な問題を解くうえで、キーとなる式変形
として使われる計算です。
そのため、当然ですが
計算練習をつんで、スラスラ計算できるようにする
必要があります。
それに加えて、大学入試の実戦もみすえて
その計算の目的は何か?
も掴んでおきましょう。
それでは、多項式の余り付き割り算について紹介していきましょう。
ポイント① 多項式の余り付き割り算は A=BQ+R の「式変形」だ!
さて、入試実戦級の重要計算、多項式の余り付き割り算です。
最初に割り算を習ったのは、小学生だったでしょうか。
昔の記憶を思い出すと、
5÷3=1 余り2
という「余り付き割り算」から習いましたね。
懐かしい、懐かしい。
多項式の余り付き割り算を習うことになるのですが、そのとき、
小学生的な「計算」という発想から脱却しましょう。
「計算」ではなく、「式変形」だと理解して下さい。
さきほどの
5÷3=1 余り2
ですが、これは「計算」の見方。
数Ⅱで勉強する余り付き割り算は、
5=3×1+2
という、「5の変形」だと捉えましょう。
(整数問題を解くときも、この気持ちは大切です。)
ある多項式Aを、別の多項式Bで「余り付き割り算」するというのは、
A=BQ+R
の形に式変形することです。
Qが商、Rが余りです。
(Rの次数は、割る多項式Bよりも低いという条件付き。)
実際に計算できることも重要なのですが、「計算」と思っているとダメです。
A=BQ+R (Qが商、Rが余り)
の形に「式変形」することが余り付き割り算だと思って下さい。
計算ではなく、式変形!
ここが重要です!
ポイント② 余り付き割り算 最高次の項を消していって、消せなくなったら終わり
しつこいですが、くり返します。
同じ「余り付き割り算」を習いますが、小学生とは気持ちを変えましょう。
計算ではなく、式変形!
そして、問題なのは。
その式変形をどう求めるのか?
です。
例えば、
A=x2、B=x+1 として、
A=BQ+R
の形への式変形を考えます。
(しつこいですが、この「式変形」、同じ式の別表示を求める作業が「余り付き割り算」です。)
今、Aは2次式、Bは1次式でした。
『Bを使って、Aの次数をどんどん下げていく』
というのが、余り付き割り算の式変形になります。
次の計算を、次数に注目しながら見てください。
A-xB
を考えると、
x2-x(x+1)=x
となり、1次式になります。
Bを使って、Aの次数を2次から1次に下げられましたね。
まだ、次数を下げられます。
A-xBから、さらにBを引いてみましょう。
A-xB-B=x-(x+1)=-1
1次式から、さらに次数の低い0次式になりました。
そして、ここで余り付き割り算の変形はオシマイです。
1次式のBよりも次数の小さい式になったら終了なんです。
最後に得られた、
A-xB-B=-1
を変形して、
A-(x+1)B=-1
A=(x+1)B-1
左辺を少しくくりだして、移項しました。
A、Bも置き戻して、
x2=(x+1)(x-1)-1
これが、目的としていた
A=BQ+R
の形の式変形です。
(見慣れない式変形ですね~。)
余り付き割り算の『式変形』は、このように
割る多項式Bを使って、割られる多項式Aの次数をドンドン下げていく
ことで求めます。
実際に勉強し、練習するのは「筆算」の形でしょう。
最高次の項を消していって、消せなくなったら終わり
をシステマティックに計算できるのが筆算です。
もちろん、計算練習は筆算の方でやりましょう。
この記事では、その筆算のもとになる考え方を紹介しました。
何を計算しているのか?
に迷わないよう、この記事の考え方も頭の片隅に入れておいて欲しいですね。
そして、できることならば。
多項式の余り付き割り算を計算したときは、
商が〇、余りが△
という「計算」チックな答え方ではなく、
A=BQ+R の形で、ノートに答えをかく
のがオススメです。
この訓練、とても大切ですよ。
ポイント③ 余り付き割り算の式変形は、「次数下げ」に使う
さて、余り付き割り算の式変形は、しっかり計算練習してもらうとして。
ここでは、その式変形の目的を紹介しておきましょう。
余り付き割り算の式変形は、
次数下げ
に使います。
(余り付き割り算は、Euclidの互除法➡任意のイデアルが1元生成➡素因数分解の一意性 を示す
ために使います。)
具体的な『次数下げ』の例は、後々たくさん出てきますから楽しみに(?)して下さい。
次数下げと言われてもピンとこないかもしれません。
ポイント②の計算を思い出して下さい。
割る多項式Bを使って、割られる多項式Aの次数をドンドン下げていく
という操作をしました。
平たく言って、この操作がそのまま『次数下げ』ですよね。
今は、なんとなく
余り付き割り算の式変形で、次数下げができる
という呪文だけ覚えておきましょう。
呪文だけ聞いてもありがたみがない?
仕方ない、では。
2次方程式は中3ですが、次数の下がった1次方程式は中1の内容です。
3次関数は高2ですが、次数を2つ下げた1次関数は中2の内容です。
どうでしょう。
扱う問題の次数が下がるということは、
中3の問題が中1の問題になったり、高2の問題が中2の問題になったり
するということです。
「次数下げ」には、そのぐらいの威力があります。
唐突に出てくる、多項式の余り付き割り算。
勉強の際に意識して欲しいポイント(呪文)は2つです!
余り付き割り算は、「計算」じゃなくて「式変形」
余り付き割り算は、次数下げ
2つめの呪文は今は忘れてもいいのですが、1つ目の意識は最重要。
計算練習をしながら、
A=BQ+R
の形の式変形を、ノートに沢山かきましょう!
そして、この式変形がスラスラできるよう、練習あるのみ!