こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、みどころなどを単元別に紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数B 数列 その2 数列の基本(「帰納的」編)
です。
→前回
今回の記事ですが、
数列の一番最初に習う内容の話題から、
数列の終盤の話題に飛ぶ
という流れになります。
その理由なのですが、
数列の終盤に出てくる「超重要概念」について、
あらかじめ知っておいて欲しいからです。
それは「帰納的」という感覚です。
数列で具体的に学習内容で言うと、
漸化式と数学的帰納法
になります。
この「帰納的」という感覚が厄介です。
基本的な考え方なのですが、急に言われても混乱する可能性があります。
この記事は、そのときのダメージを和らげるのが目的です。
(その分、ちょっとお話っぽい雰囲気が強い記事になっています。)
では、本題に入っていきましょう。
ポイント① 数列を定めるのって、案外大変
いきなりですが、
ひっかけ問題
を出します。
数列1,2,3,……
ですが、3の次にくる数字は何だと思いますか?
ひっかけ問題だと先に言ったので、
色々と警戒してしまうかもしれませんね。
いやいや、気楽に答えて下さいよ。
素直に浮かんだ答えがそのまま正解ですから。
そうですよね、正解は
『3の次の数字なんて、分からない」
ですよね。
え。3の次は円周率πだと思った?
そうですね、
an={(π-4)(n-1)(n-2)(n-3)/(3×2×1)}+n
とでもすれば、1,2,3,πとなりますね。
え。3の次は虚数単位iだと思った?
そうですね、
an={(i-4)(n-1)(n-2)(n-3)/(3×2×1)}+n
とでもすれば、1,2,3,iとなりますものね。
(n=1,2,3,4を代入して確かめてみましょう!)
とまあ、冗談と脱線はさておき。
数列1、2,3、……
という表現では、
4番目以降の数字は何も決まっていない
というのが、厳密な考え方です。
だから、
『3の次の数字なんて、分からない」
というのが、数学的な姿勢ではあります。
普通の問題集なら、
「1、2、3ときたら、次は4だろう」
というラフな姿勢でもいいのですが、入試問題はそういきません。
数学のプロとしての威厳がかかっていますからね。
意外と、
「1つの数列を、厳密に定める」
のには、注意が必要です。
ポイント② 一般項 an=(nの式) で数列を定めよう
ということで、厳密な数列の定め方を紹介します。
それが、
an=(nの式)
という書き方です。
一般項と呼ばれたりします。
例えば、
an=n
とすると、
1,2,3,……
という数列になります。
(nにn=1,2,3,……と代入していきます)
さっきと同じジャン!
と思うかもしれませんが、今回は3の次は4と決まっています。
an=n にn=4を代入すると、
a4=4
となりますからね。
ちなみに、100番目は100、1000番目は1000と、
どこまで行っても、どんな大きな数でもすぐに分かります。
これも代入すればいいですね。
「すべての番号の数を一気に定める」
というのが、一般項による数列の定め方です。
ポイント③ 「前の数との関係」で数列を定めよう
一般項による表示は、
「すべての番号の数が一気に分かる」
強力な代物です。
もう一つ、数列の定め方があります。
それが
「前の数との関係」
で定める方法です。
具体例を出しましょう。
最初の数a1を1とします。
次の数a2は、前の数a1に1を足した2とします
その次の数a3は、前の数a2に1を足した3とします
さらにその次の数a4は、前の数a3に1を足した4とします
……
という風に、
ある数anは、その前の数an-1に1を足した数
というルールで数列を定める方法です。
数式で表示すると、
a1=1
an=an-1+1 (n≧2)
という表し方になります。
このような数列の定め方を、「帰納的」と言ったりします。
(漸化式という言葉で、後々学習することになります。)
ポイント④ 一歩一歩進むのが、「帰納的」
一般項による数列の定め方は、
「すべての番号の数を一気に定める」
ものでした。
一方で、「帰納的」な数列の定め方は、
「一歩一歩、順番に決める」
ものです。
1番目を決めて、
1番目を使って2番目を決めて、
2番目を使って3番目を決めて、
……
と一歩一歩進みます。
このように、
前の番号との関係
が決まっていて、
そこから一歩一歩、
数が決まる
のが「帰納的」という感覚です。
ポイント⑤ 「帰納的」という考え方を理解するのが数列の目的!
数列の学習の終盤では、
「帰納的」
という考え方がテーマになっていきます。
基本的な考え方なのですが、かなり高級な概念です。
具体的には、
「帰納的」に数列を定める漸化式
「帰納的」な考えで証明する数学的帰納法
について勉強することになります。
等差とか等比数列は、
「数列に慣れるための、簡単な実験台」
のような立ち位置です。
前菜の前……食前酒みたいなものですね。
数列の学習のメインディッシュは
漸化式、数学的帰納法
です。
今ここで理解する必要はありません。
前の数との関係に注目して、
一歩一歩進んでいく
考え方があるんだなあ、と感じてもらえればOKです。
そして、
この「帰納的」とよばれる感覚を、習得するのが数列の目的なんだ!
と、今のうちから知っておきましょう。
いかがでしょうか。
今すぐには、ピンとこないかもしれません。
それで大丈夫です。
今の所は、
「へー、そんなことを勉強するんだ」
と思っておきましょう。
今までにない考え方を習ったときに、
「あー、なんか聞いたことあるかも」
と感じられるだけで、印象が変わってきますからね。