こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、みどころなどを紹介する
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数B 数列 その5 シグマ計算(基礎練習)
です。
数列の勉強は順調でしょうか。
等差・等比数列の扱いを通じて、数列の記号には慣れましたか?
ちょっと不安が……という人は、
「記号の意味を確認する」
「自分で、数列の記号を使って数式表現をする」
という訓練を、もう一度して来た方がいいかもしれません。
というのは、この後
「シグマ」
という新しい記号が出てきます。
この記号も、習得が中々大変です。
前の内容・記号の習得が曖昧だと、
シグマ計算で大混乱する可能性があります。
このシグマ計算あたりから、数列の中盤戦に入ります。
シグマ計算、群数列、階差数列あたりから、
徐々に本格的(?)な内容になっていきます。
その分、習得して使いこなしたときの有用性も大きいです。
とくに、シグマ計算が実戦で使えるかどうかは、
大学入試の数学で重要です。
きちっと習得していきましょう。
注意
この記事のシグマ記号は、
「n=1からkまで」
の部分を省略して書きます。
具体的には、
1+2+3+……+nを、
Σk
と表します。
ポイント① 「代入して足し算」を表す記号が「シグマ」
先に「注意」で出してしまいましたが、
1+2+3+……+nの足し算を、
Σk
とかきます。
Σk
ですが、
「k=1,2,3,……,nと代入したものを、足す」
という意味になります。
もう1つぐらい、例を出します。
Σk2
だったら、
12+22+32+……+n2
のことを意味します。
k=1,2,3,……,nを「k2」に代入して、
すべて足していますね。
余談1 「Σ」は「S」のギリシャ文字
唐突に出てきた「Σ」ですが、意味としては「S」だと思いましょう。
なんで「S」を使うかですが、
合計を表す「Sum」の頭文字が由来でしょうか。
余談2 「代入してかける」ときは「Π」
「Σ」の足し算をかけ算に変えた記号もあります。
円周率πの、大文字「Π」を使って、
Πk=1×2×3×……×n
のように表します。
ポイント② 「和の書き下し」↔「Σ記号」を、毎回変換すること!
Σ計算の最終目標は、
「Σ記号を使いこなして、サクサクと和を計算する」
ことです。
ですが、その前に
「記号の意味が分かる、慣れる」
という訓練が必要です。
その訓練として大事なのは、
「和の書き下し」と「Σ記号」を変換する
練習です。
Σ2k3
という式を見たら、
必ず、公式を使って計算する前に
Σ2k3=2×13+2×23+2×33+……2×n3
と、「足し算を書き出した式」を書きましょう。
たとえ、公式一発で計算できるものでも、
必ず「足し算を書き出す」作業をして下さい。
あえて、大げさに断言します。
この作業をせずに、Σ計算の意味が分かったり、
記号に慣れることはありません。
公式を覚えるよりもよっぽど重要だと意識して下さい。
逆に、
『「……」を含んだ足し算を見たら、Σ記号で表す』
という訓練もしましょう。
今まで学習した式で練習するのも有効です。
例えば、『n次多項式』の一般形は、
anxn+an-1xn-1+……a1x+a0
ですが、これをΣを使って
Σakxk
と書く練習をします。
(kを動かす範囲は、k=0からk=nまでに変えましょう。)
このように、『「……」を含んだ足し算』を見たら、
片っ端から「Σ」で表現する練習をしましょう。
この「和の書き下し」と「Σ記号」の変換が、サラサラとできるまで練習して下さい。
そのうち、「頭の中でパッと式の変換ができる」ようになってきます。
同じことの繰り返しですが、重要なので、
再び大げさな表現で断言しておきます。
ここが習得できないと、
「Σ計算、よく分からない」
という段階から、脱却できません。
面倒だけれど、毎回毎回、きちっと繰り返して、
「和の書き下し」と「Σ記号」を変換する
に習熟しましょう。
ポイント③ 「Σ記号」は、「変化する部分」と「変化しない部分」に注目しよう!
真面目な人は、ポイント②の
「和の書き下し」と「Σ記号」を変換する
という練習を、しっかり自分で手でやってくれるハズです。
そして、そこで気づくはずです。
「和の書き下し」と「Σ記号」の変換、簡単じゃないぞ
ということに!
今までやったことのない処理ですからね。
最初は簡単ではありません。
そこで、
「和の書き下し」と「Σ記号」の変換をするときのコツ
をご紹介します。
Σ計算を書き下したり、和をΣで表すときのコツは、
「変化する部分」と「変化しない部分」に注目する
ことです。
例えば、
『二項定理』をΣ記号で表す
という練習をしてみましょう。
(a+b)n
=nC0an+nC1an-1b+nC2an-2b2+……+nCn-1abn-1+nCnbn
が二項定理ですね。
右辺をΣで表します。
隠れている「0乗」や「1乗」を復活させて、
足し算の各項を色付けしてみましょう。
nC0anb0+
nC1an-1b1+
nC2an-2b2+
……+
nCn-1a1bn-1+
nCna0bn
「変化しているところ」に、赤と青で色を付けました。
黒になっている部分は、「変化していない」ことに注目しましょう。
そして、
「変化していないところ」は、そのままΣの中に入れてあげる
と思ってOKです。
ΣnC〇a△b◇
としてあげましょう。
この形から、
〇、△、◇に入る「kの式」を考える
という手順で進めていきます。
〇=k, △=n-k, ◇=k
とすると、代入したときにピッタリくるので、
ΣnCkan-kbk
が、二項定理の右辺をΣで表したものです。
(kは、0からnまで動きます。)
逆に、Σ記号を和で書き出すときも、
「変わる部分」「変わらない部分」に注目します。
ΣnCkan-kbk
ですが、
「kの入っていないところ」が変わらない部分
「kが入っているところ」が変わる部分
です。
そのため、
kの入っていないところはそのまま
kの入ってるところは、代入して変えていく
を意識しながら、書き下していくのがオススメです。
Σは、使いこなせば非常に便利な記号です。
そのためには、まず「記号に慣れる」ことが必須です。
「変わるところ」「変わらないところ」に注目しながら、
和の書き下し↔Σ記号
の変換を、自分で手で繰り返しましょう。
この作業を怠ると、Σ記号の習得は不可能になります。
面倒ですが、コツコツと反復練習を積み重ねましょう!