るるぶ高校数学 数Ⅱ ①式と証明 その4 多項式の計算(分数、恒等式編)|大学受験エリート

るるぶ高校数学 数Ⅱ ①式と証明 その4 多項式の計算(分数、恒等式編)

こんにちは!

大学受験エリートのSuuです。

 

高校数学について、勉強のポイント、落とし穴などを

単元別・分野別に紹介する

るるぶ高校数学のコーナーです。

 

今回は、

数Ⅱ 式と証明 多項式の計算(分数、恒等式編)

です。

 

前回に引き続き、多項式の計算について紹介していきましょう。

前回は「余り付き割り算」による式変形でした。

今回は、

多項式/多項式の分数計算

恒等式

について扱います。

 

ポイント① 分数の扱いは、式でも数でも同じノリでOK

多項式/多項式の扱いですが、基本的な操作は普通の数とまったく同じです。

割り算は、分母分子を入れ替えてかけ算にする

かけ算・割り算では、約分をしてから計算する

分母が違う足し算・引き算は、通分で分母をそろえる

……はい、まるで小学生の算数の内容ですね。

多項式でも数でも、分数の性質は変わりません。

今までと同じノリで扱えばOKです。

 

ポイント② 分数のなかに分数があったら、通分で分母をはらう

今まででも出てきたかもしれませんが、

分数のなかに分数があるような式も出てきます。

そういうときは、

分母・分母に同じ式をかけて(通分)、分母を払ってしまいましょう。

すると、分数のなかにある分数は解消できます。

この辺りも、数と同じ感覚で扱ってOKです。

 

ポイント③ 分母と分子の次数に注目! 『分子の次数 < 分母の次数』が基本

ここからは、「多項式/多項式」特有の内容です。

多項式/多項式を見たら、

分母と分子の次数をチェックする

のをクセにしましょう。

例えばですが、

点検開始!

分子1次、分母2次!

点検終了!

と心の中で唱えるのはいかがでしょうか。

……ここまでやる必要はないのですが、今後のために、

多項式/多項式を見たら、次数を意識することが大切です。

 

そして、もしも

分子2次、分母1次

みたいに、分子の次数が分母の次数よりも大きい場合。

必ず、

分子の次数は、分母の次数よりも小さい形に変形できる

ことを知っておきましょう。

この式変形で使うのが、

余り付き割り算 の式変形

です。

 

1つ具体例を出しましょう。

x2/(x+1)という多項式/多項式の分数は、

分子2次、分母1次で、分子の方が次数が大きいです。

 

ここで使うのが、余り付き割り算。

前回の記事で、使い道の分からない謎の式変形がありましたね。

x2x+1で余り付き割り算して得られた、

x2=(x+1)(x-1)+1

という式変形です。

この式変形を代入すると、

x2/(x+1)

={(x+1)(x-1)+1}/(x+1)

=(x+1)(x-1)/(x+1)+1/(x+1)

=x-1+1/(x+1)

となります。

気づけば、分子の方が分母よりも次数が小さい分数にできました。

 

分子の次数 < 分母の次数 への式変形は、

大学入試の数学で、非常に実戦的です。

今はその恩恵がつかみにくい思いますが、

大学入試の数学で、必ず役に立つということは断言しておきます。

(先ほどの例だと、

x-1+1/(x+1)

に変形するだけで、

グラフの形が大体分かったりします。)

 

現段階では、次の標語を覚えましょう。

多項式/多項式を見たら、分母・分子の次数を確認!

分子の次数 > 分母の次数なら、余り付き割り算の出番!

 

 

ポイント④ 恒等式=「同じ式」

「恒等式」というややこしい名前が出てきますが、要は

同じ式

のことだと思ってOKです。

 

(x+y)(x-y)=x2-y2

など、典型的な恒等式です。

左辺と右辺は、表示が違うだけで同じ式ですよね。

(高校生向けじゃない注釈 本当は、恒等式と、多項式の意味で同じ式であることは違います。

Z/2Z上で、x3-xは恒等的に0ですが、多項式として0ではありません。)

 

x2+2x+3=ax2+bx+c がxの恒等式になるa,b,cは?

と言われたら、

左右が同じ式になるa,b,cは?

と思ってOKです。

そんなの簡単、a=1,b=2,c=3とすれば同じ式ですよね。

 

『同じものや、変形したら同じなる式たちを恒等式というよ』

ということを習うだけ、とも言えます。

個人的には、「恒等式」はあまり深く考えなくていい用語だと思っています。

(深く考えると、上の注釈のようなことを気にし出します。)

 

でも、恒等式について習う理由、目的はちゃんとあります。

それは、

アタリをつけて式変形

という考えを実行するためです。

 

ポイント⑤ 部分分数分解は「通分の逆計算!」 分母が因数分解できる→部分分数分解を疑おう!

恒等式と出会えたら、多項式/多項式の超☆重要☆式変形とも出会うはず。

そう、いよいよあのお方。

部分分数分解

の登場です。

 

式変形としては、「通分して足し算」の逆変形になります。

1/(x+1)-1/(x+2)

を通分して整理すると、

1/{(x+1)(x+2)}

になりますね。

これを逆に、

1/{(x+1)(x+2)}

1/(x+1)-1/(x+2)

とするのが部分分数分解です。

 

おいおい、

せっかく通分してまとめたのに、

なんで分解するんだよ……

という気持ちもあるでしょう。

ですが、バラして分解した方がいい場面も多いんです。

 

ある意味、部分分数分解も次数下げの一種と言えます。

先ほどの

1/{(x+1)(x+2)}

1/(x+1)-1/(x+2)

ですが、分母の次数に注目です。

分母の次数が2次から1次に落ちています。

このメリットが非常に大きいんですね。

(高2の問題を中2の問題に変える威力が、次数下げにはあります。)

 

ただ、「通分の逆計算」のため、部分分数分解をするには条件があります。

それは、

分母が因数分解できていること

です。

問題の中であらかじめ分母が因数分解されていることもあれば、

自分で分母の因数分解を見抜く問題もあります。

意識としては、分母が2次以上なら、

因数分解→部分分数分解

を疑った方がいいですね。

 

 

いかがだったでしょうか。

いずれにせよ、「計算」の分野なので、入念な計算練習が必須です。

多項式/多項式の扱いがメインでしたが、ポイントは

分母・分子の次数に注目すること

です。

分子の方が次数が大きい→余り付き割り算で次数下げ

分母が2次以上→因数分解から部分分数分解

というのは、常に頭をよぎって欲しい式変形です。

(これらを両方使うこともありますよ。)

そのためには、次数に注目する初動が重要になります。

次数確認!

分母2次、分子1次!

確認終了!

と心の中で叫びながら、次数を確認するクセをつけて欲しいですね。

頑張りましょう!

 

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