こんにちは!
大学受験 エリート 運営スタッフのSuuです。
今日は巷で見つけた数学パズルを紹介します。
「問題があって、答えを紹介!」では面白くないので、
問題を解く思考過程を、ライブ風に紹介します。
「問題と答え」だけではパズルで終わってしまいますが、
問題を解く思考過程は、大学受験の数学でも通用する内容です。
さらに、このコンテンツの最後には、演習用のチャレンジ問題も載せています!
では、まずは数学パズルの紹介から。
問題 いかさまコイン
「いかさまコイン」が1枚ある。
普通なら、コインを投げたときに表が出る確率は1/2だが、
この「いかさまコイン」は1/2ではなく、ある確率で表が出る。
この「いかさまコイン」を投げて、
A、Bの二人がコイントスで勝負をしたい。
どうすれば公平な勝負ができるか?
分析パート
さて、まずは問題を整理しよう。
問題文の中でキーになりそうな部分は……
分析Ⅰ 『「いかさまコイン」は1/2ではなく、ある確率で表が出る。』
「ある確率」とぼかされているのは一つのミソだなあ。
「どんな確率か、ぼかされていて分からない」ということは、
裏を返すと
『「どんな確率だったとしても、公平な勝負になる方法」を考えなさい』
という問題と捉えるのが、数学的な筋だね。
分析Ⅱ 『どうすれば公平な勝負ができるか?』
「公平な勝負」とはどういう意味か?
きちんと整理しておこう。
「A、 Bが勝つ確率がそれぞれ1/2」となるような勝負法、
と捉えればいいですかね。
さあ、問題のキー部分を整理したので、早速、答えを考えよう!
ヒラメけアイデア~~~!
……と念じても、大抵は何も出てこないんだなあ。
こういうときは、実験から入るのが大学受験でも重要な数学のテクニック。
実験のコツは、考えやすいように「極端なケース」を想定するのがいい。
「極端なケース」には、問題のエッセンスが詰まっていることも多い。
この問題で、極端なケースというと、次の二つですか。
実験パート
実験Ⅰ 『表が出る確率が1(100%)の場合』
絶対に表しか出ない、いかさまコインの場合ですね。
多分、このコインは両面が表なのでしょう。
(あるいは、表裏の区別がつかないコイン。
メビウスのコインと名付けることにする。)
さて、この場合の公平な勝負は……んん~~~?
公平な勝負、ムリじゃない?
だって、表しか出ないんだし。
どんな投げ方をしても、何回投げても、永遠に「表」。
起こるできごとに、違いやイレギュラーが発生しない。
「公平な勝負」以前に、「勝負」そのものが成立しません。
A、B二人とも「表が出る」と言い張って終わりです。
表が出る確率が0の場合も同様ですか。
こういったケースは「公平な勝負法はない」が答えになりますね。
(大学受験の数学の問題だとしたら、ここで「場合分け」をしないといけない!
と気づけます。)
実験Ⅱ 『表が出る確率が1/2の場合』
いかさまではなく、普通のコインの場合ですね。
このときは簡単で、
「Aが表・裏のどちらかを選び、コインを投げる。
選んだ面が出たらAの勝ち、選んだ面と逆が出たらBの勝ち。」
が答え。
普通のコイントスそのもの。
非常に自明なケースだけど、こういう当たり前のケースもキッチリ確認することが重要。
さて、分析・実験ができたので、答えを考えていこうか。
一応、大学受験の数学っぽくするため、
「表が出る確率をPとする」ことにしましょう。
「裏がでる確率は(1-P)」なことには注意。
作戦立案・作戦遂行パート
作戦Ⅰ 「Pがどんな値でも、1/2の確率で起こるできごとを探せ!」
分析Ⅰから、「Pの値に依存しない」量に注目して考えられると嬉しい。
(「Pの値に依存しない」=「Pがどんな値でも、変わらないもの」です。)
分析Ⅱから、それが1/2ならさらにハッピー。
つまり、
「Pがどんな値でも、1/2の確率で起こるできごと」が見つかれば、
それを使った公平な勝負な可能!
よし、これを探そう。
んー……そんな都合のいいものは……
(しばらく考える)
ちょっと浮かばない。都合が良すぎたかな。
別の方向から攻めた方が良さそうな予感がします。
⇒作戦Ⅰは断念
作戦Ⅱ P=1、P=0で場合分けが必要になる理由は?
実験Ⅰから、P=1、0のケースは場合分けして考えないといけないことが分かっている。
つまり、「Pが1とか0だとヤバイ式」が解答に絡む可能性が高い。
これも一つの取っ掛かりになる。
では、「Pが1とか0だとヤバイ式」とはなんぞ?
分母が0になる式がヤバイ式の代表格だから、
1/Pとか、1/(1-P)とかが絡むのか?
確率の逆数とか言われてもピンとこないなあ。
あとは、
1/P(1-P) なら、P=1と0が場合分けになるけど……ん。
んんん~~~??
P(1-P) ←これじゃない!?
P(1-P)は、コインを2回投げて「表、裏」と出る確率を表している。
そして、これはコインを2回投げて「裏、表」と出る確率(1-P)Pと同じ!
掛け算、ひっくり返しただけだしね。
確率が同じ二つを利用すれば、「公平な勝負」が作れそうだ!
ここまで気づけば、後は答えをまとめるだけです。
解答 いかさまコイン
「Aが『表裏』・『裏表』のどちらかを選び、いかさまコインを2回投げる。
選んだ通りに出たらAの勝ち、選んだものと逆が出たらBの勝ち。
ただし、『表表』か『裏裏』が出た場合は、もう一度いかさまコインを2回投げる。」
注釈1 「表しかでない『いかさまコイン』」のような場合、公平な勝負は存在しない、もしくは永遠に勝負がつかないという意味で公平と考えることができる。
注釈2 この解答以外の答えも存在します。
振り返りパート
実験Ⅱを使っていないように見えますが、
最終的な解答は実験Ⅱの答えをベースに作っています。
見比べてみて下さい。
途中、作戦Ⅰでは都合のいいことばかり考えすぎて、
作戦立案ミスをしてしまいました。
この原因は、分析Ⅱの考えが甘かったせいです。
分析Ⅱでは、
『公平な勝負=確率が同じできごと2つで争える』
と考えるべきでした。反省。
数学的思考力とは?
近年の大学受験では、「思考力」が問われる傾向があります。
大学受験の数学で求められる「思考力」とは、
「かっこいいアイデアが浮かぶ力」ではありません。
解き方の分からない問題に対して、
『状況を整理して分析し、
実験を繰り返して解答の取っ掛かりを掴み、
ロジカルに解答まで進んでいく能力』
が、大学受験の数学で求められる「思考力」です。
この記事で、問題の分析や実験の過程を丁寧に紹介したのは、
その部分を伝えたかったからです。
さて。問題を解いて、満足して終わりでは、実は甘い。
最終的な答えから、問題の本質を分析すると……
ふむふむ。なるほどね。
この問題を少し改変した問題を考えました。
発展問題 いかさまサイコロ
1~6の目がある「いかさまサイコロ」が1つある。
普通なら、サイコロを投げたときに1~6の目が出る確率はそれぞれ1/6だが、
この「いかさまサイコロ」は、1/6ではなく、
それぞれある確率で1~6の目が出る。
この「いかさまサイコロ」を投げて、
A、Bの二人がサイコロで勝負をしたい。
どうすれば公平な勝負ができるか?
いかさまコインの問題を応用すれば解けます。
この問題は読者への宿題とします。ぜひチャレンジして下さい!
答えが気になった人は、校舎に来たり(答えだけ聞きに校舎に来るのも歓迎!)、ビラ配りをしている大学受験エリートのスタッフに聞いたりして下さい!