【問題集・参考書の活用法 英語 第15回 : 「入門英文解釈の技術70」】
このカテゴリーでは、Izu(いず)が様々な参考書・問題集の使い方の例を解説します。
第15回は、桐原書店さんから出ている英文解釈用の参考書・問題集「入門英文解釈の技術70」です。
毎度の定型文ですが、解説のスタンスは、この参考書・問題集を使うなら、ということです。
良い・悪いは個人の好みや学習状況で変わってきますので、それには触れません。
既にお持ちの方、これから参考書・問題集を買おうとしている方のお役に立てれば幸いです。
では、本題へ!
<習得した基礎英文法を長文読解へと「橋渡し」してくれる1冊>
英文解釈と言えば、記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
第6回で、「英文解釈ナビ」をご紹介しましたね(初耳の方はそちらもご参照ください!)。
大事なことなので、第6回と同じことをここからしばらく繰り返します。
英文解釈ってそもそも何という話をもう一度。
簡単に言いますと、単語・イディオム・文法の習得知識を用いて、英文が伝えたい意味を正しく汲み取る、そういった訓練です。
どこが簡単に言うだ~長すぎると・・・すみません、もっと簡単に言います。
「英文の意味を正しくつかむ訓練」です!
英文法がひと通り固まった後、いきなり数百語あるような長文読解の学習にシフトする前に、まずは英文解釈の訓練を取り入れたいのです。
英語の長文は、【長文全体 → 各パラグラフ → 一文一文】と細分化できます。
至極当たり前のことで恐縮ですが、英語の長文は一文一文が集まったものですね。
つまり、一文一文の意味を正確につかむ力があれば、英語の長文は時間さえかければ読める状態になるはずなのです。
長文読解の学習はむしろ、本文の内容に関する設問処理を訓練する学習であり、また、時間内に長文を読んで解答する訓練であると言えます。
英文解釈の訓練は、これまで学習した単語・イディオム・文法の知識を長文読解につなげる「橋渡し」の役割を果たしますので、長文読解中心の学習に移る前段階の学習に取り入れてください。
とここまで、第6回にお話しした内容とほぼ同じです。
なぜ繰り返したかと言いますと、この英文解釈という学習過程を端折る(はしょる)受験生が少なくないからなんです。
特に「高3から受験勉強を始めました!」なんて方だと、入試本番まで時間はそんなに残されていないですからね。
そうすると、文法が固まっているのか微妙な状態でも、長文読解に入らざるを得なくなってしまうという訳です。
必然的に、英文解釈の練習がどっかにいってしまうんです、
そうならないよう、入試本番から逆算し、少なくとも英文解釈に特化した学習を「1冊」はこなすようにしましょう。
ではやっとこさで本題「入門英文解釈の技術70」の内容を見てみましょう。
実はこのシリーズ、レベル違いで以下の種類があります。
・超入門英文解釈の技術60
・入門英文解釈の技術70
・基礎英文解釈の技術100
・英文解釈の技術100
本の見た目も似ていますので、購入する際は注意しましょう笑。
このうち、「入門英文解釈の技術70」を今回ご紹介している訳ですが、なぜこれにしたかと言いますと・・・
【偏差値50前後の生徒(つまり受験生のボリュームゾーン)が力を伸ばすのに最適】だからです!
英語がそれなりの成績で、難関大学合格を目指している、なんて方は、第6回にご紹介した「英文解釈ナビ」の方がレベル感が合うと思います。
英文解釈の学習は、入試までの残り時間を考えますと、1冊じっくり取り組んだら長文読解へ学習をシフトしなくてはならなくなる場合が多いです。
ですので、「その時のご自身の英語力」に適した1冊を間違いなく選んで、その1冊をじっくりやってほしいですね!
「入門英文解釈の技術70」の構成は、このようになっています。
・第1部: 英文解釈の技術70
・第2部: 演習問題70
第1部に入る前に、学習の基礎知識として品詞・句と節の考え方が説明されていますので、必ず読んで理解してから本編に入ってください。
第1部は、5行前後の英文が最初にあり、訳しなさいという指示があります。
ですが、いきなり和訳をする前に、①すぐ下の[訳す上でのポイント]を読みます。
そこに書かれたエッセンスが和訳する英文数行のどこかに含まれますので、②ポイントで書かれていたことを意識して和訳してください。
和訳を作った後は、③第1文~の文構造の説明が細かく書かれていますので、自分の解釈が一致しているかを一つ一つ確認します。
そして、④全文訳と自分の和訳を照らし合わせ、合わないところがあれば文構造を再度確認し、構造に忠実にもう1回和訳を作り直します。
一番最後に[語句]という欄がありますので、ここは和訳する上で必要に応じて参考にしてください。
問題数は70ありますが、文構造を把握する上での考え方が70示されており、どの問題も見開きで解説まで完結しますので、ページを行き来しなくていいのが使いやすいですね。
せっかくですので、1題だけちらっと例に出してみましょうか。
~次の英文を訳しなさい~
Most plastics are made of oil-based chemicals .
They are not easily used again , because they produce poisonous gasses or substances when broken down .
この問題の解釈技術テーマは、太字(when broken down)の部分です。
副詞節でよく見られる、接続詞の後のS+Vが省略されている文ですね。
どんな場合に省略されることがあるのかが、この後詳しく説明されていますので、訳す前にここを理解します。
いよいよ和訳をしてみる訳ですが、単語もそこまで難しいのはありませんよね。
まだ英語に自信が持てない方でも、これなら頑張れば自分なりの和訳は作れそうです。
和訳し終えた後は、各文の解説をじっくり見て、自分の解釈とズレがないかを確認します。
Most plastics (/S) are made (/V受) of oil-based chemicals (/M) .
たいていのプラスチック製品は 作られる で 石油を原料にした 化学物質
第1文も、このようにここまで細かく説明されていますので、不明点が出てきようがないですね。
第2文は・・・このページのテーマになっていますので、ここでは紹介できません笑。
そして最後に、全文訳と見比べます。
全文訳(第1文): たいていのプラスチック製品は石油を原料にした化学物質で作られる。
ご自身の和訳例: 多くのプラスチックは、石油を元にした化学物質で作られる。
→この方は、最初のMostを「たいてい」と直した方がいいでしょうね。石油を元にした、という表現は問題ありません。
こんな感じで、第1部では一文一文の文構造を正確に読み取り、忠実に和訳する力を養ってください。
第1部の最後に[復習トレーニング]があります。
同じ英文が70題ノーヒントで載っていますので、やったことを思い出しながら自力で和訳し、和訳の照合をしたらいよいよ第2部へ移ります。
第2部は、演習問題が70題です。
第1部で学んだ70の例題と同じ解釈ポイントが含まれている英文が、こちらもやはり70題続きます。
語句のみページの下に載っていますので、①分からない単語があれば参照しながら、自力でまずは和訳を作ります。
この時、SやVなど自身の解釈を英文に残しておきましょう。
そして、別冊の解説・解答編で、②各文の文構造を把握し、③全文訳と照合します。
第2部も、そこまで複雑な構造の英文は出てきませんので、英語が苦手な方であっても十分にやり切れると思いますよ!
このように、英語が得意ではない方でも「やってみよう!」と思えるレベル感と、細かくできる限界まで細かくしたのではないかと思える解説が、「入門英文解釈の技術70」の使いやすいところですね!
長文読解は特に苦手だという方も、この本での学習を完遂した後「読めるようになってきた!」と実感できるようになるのではないでしょうか。
繰り返しですが、英文解釈の訓練は、これまで学習した単語・イディオム・文法の知識を長文読解につなげる「橋渡し」の役割を果たしますので、長文読解中心の学習に移る前段階の学習にぜひ取り入れましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「長文なんて、一文一文の集合体。正確に一文を訳す力があれば、読めない訳がない!」と思えるよう、英文解釈の訓練を適切なタイミングで始めましょう。
入試本番まであまり時間が残されていない方は、この英文解釈の学習と長文読解の基本レベルの学習を並行して行ってください。
端折る(はしょる)くらいなら、長文読解と並行して進めた方が100倍、いや10000倍マシです!
今回ご紹介させていただきました【入門英文解釈の技術70】、第1部と第2部で計140問ですよね。
これを短期間で終わらせる自信がないなぁ、と感じる方も多いであろうことは予想できます。
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それではまた次回をお楽しみに(何を紹介するかはまだ決めていません笑)。
See you !