こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学について、勉強のポイント、落とし穴などを
単元別・分野別に紹介する
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅱ 式と証明 多項式の計算(分数、恒等式編)
です。
前回に引き続き、多項式の計算について紹介していきましょう。
前回は「余り付き割り算」による式変形でした。
今回は、
多項式/多項式の分数計算
恒等式
について扱います。
ポイント① 分数の扱いは、式でも数でも同じノリでOK
多項式/多項式の扱いですが、基本的な操作は普通の数とまったく同じです。
割り算は、分母分子を入れ替えてかけ算にする
かけ算・割り算では、約分をしてから計算する
分母が違う足し算・引き算は、通分で分母をそろえる
……はい、まるで小学生の算数の内容ですね。
多項式でも数でも、分数の性質は変わりません。
今までと同じノリで扱えばOKです。
ポイント② 分数のなかに分数があったら、通分で分母をはらう
今まででも出てきたかもしれませんが、
分数のなかに分数があるような式も出てきます。
そういうときは、
分母・分母に同じ式をかけて(通分)、分母を払ってしまいましょう。
すると、分数のなかにある分数は解消できます。
この辺りも、数と同じ感覚で扱ってOKです。
ポイント③ 分母と分子の次数に注目! 『分子の次数 < 分母の次数』が基本
ここからは、「多項式/多項式」特有の内容です。
多項式/多項式を見たら、
分母と分子の次数をチェックする
のをクセにしましょう。
例えばですが、
点検開始!
分子1次、分母2次!
点検終了!
と心の中で唱えるのはいかがでしょうか。
……ここまでやる必要はないのですが、今後のために、
多項式/多項式を見たら、次数を意識することが大切です。
そして、もしも
分子2次、分母1次
みたいに、分子の次数が分母の次数よりも大きい場合。
必ず、
分子の次数は、分母の次数よりも小さい形に変形できる
ことを知っておきましょう。
この式変形で使うのが、
余り付き割り算 の式変形
です。
1つ具体例を出しましょう。
x2/(x+1)という多項式/多項式の分数は、
分子2次、分母1次で、分子の方が次数が大きいです。
ここで使うのが、余り付き割り算。
前回の記事で、使い道の分からない謎の式変形がありましたね。
x2をx+1で余り付き割り算して得られた、
x2=(x+1)(x-1)+1
という式変形です。
この式変形を代入すると、
x2/(x+1)
={(x+1)(x-1)+1}/(x+1)
=(x+1)(x-1)/(x+1)+1/(x+1)
=x-1+1/(x+1)
となります。
気づけば、分子の方が分母よりも次数が小さい分数にできました。
分子の次数 < 分母の次数 への式変形は、
大学入試の数学で、非常に実戦的です。
今はその恩恵がつかみにくい思いますが、
大学入試の数学で、必ず役に立つということは断言しておきます。
(先ほどの例だと、
x-1+1/(x+1)
に変形するだけで、
グラフの形が大体分かったりします。)
現段階では、次の標語を覚えましょう。
多項式/多項式を見たら、分母・分子の次数を確認!
分子の次数 > 分母の次数なら、余り付き割り算の出番!
ポイント④ 恒等式=「同じ式」
「恒等式」というややこしい名前が出てきますが、要は
同じ式
のことだと思ってOKです。
(x+y)(x-y)=x2-y2
など、典型的な恒等式です。
左辺と右辺は、表示が違うだけで同じ式ですよね。
(高校生向けじゃない注釈 本当は、恒等式と、多項式の意味で同じ式であることは違います。
Z/2Z上で、x3-xは恒等的に0ですが、多項式として0ではありません。)
x2+2x+3=ax2+bx+c がxの恒等式になるa,b,cは?
と言われたら、
左右が同じ式になるa,b,cは?
と思ってOKです。
そんなの簡単、a=1,b=2,c=3とすれば同じ式ですよね。
『同じものや、変形したら同じなる式たちを恒等式というよ』
ということを習うだけ、とも言えます。
個人的には、「恒等式」はあまり深く考えなくていい用語だと思っています。
(深く考えると、上の注釈のようなことを気にし出します。)
でも、恒等式について習う理由、目的はちゃんとあります。
それは、
アタリをつけて式変形
という考えを実行するためです。
ポイント⑤ 部分分数分解は「通分の逆計算!」 分母が因数分解できる→部分分数分解を疑おう!
恒等式と出会えたら、多項式/多項式の超☆重要☆式変形とも出会うはず。
そう、いよいよあのお方。
部分分数分解
の登場です。
式変形としては、「通分して足し算」の逆変形になります。
1/(x+1)-1/(x+2)
を通分して整理すると、
1/{(x+1)(x+2)}
になりますね。
これを逆に、
1/{(x+1)(x+2)}
=1/(x+1)-1/(x+2)
とするのが部分分数分解です。
おいおい、
せっかく通分してまとめたのに、
なんで分解するんだよ……
という気持ちもあるでしょう。
ですが、バラして分解した方がいい場面も多いんです。
ある意味、部分分数分解も次数下げの一種と言えます。
先ほどの
1/{(x+1)(x+2)}
=1/(x+1)-1/(x+2)
ですが、分母の次数に注目です。
分母の次数が2次から1次に落ちています。
このメリットが非常に大きいんですね。
(高2の問題を中2の問題に変える威力が、次数下げにはあります。)
ただ、「通分の逆計算」のため、部分分数分解をするには条件があります。
それは、
分母が因数分解できていること
です。
問題の中であらかじめ分母が因数分解されていることもあれば、
自分で分母の因数分解を見抜く問題もあります。
意識としては、分母が2次以上なら、
因数分解→部分分数分解
を疑った方がいいですね。
いかがだったでしょうか。
いずれにせよ、「計算」の分野なので、入念な計算練習が必須です。
多項式/多項式の扱いがメインでしたが、ポイントは
分母・分子の次数に注目すること
です。
分子の方が次数が大きい→余り付き割り算で次数下げ
分母が2次以上→因数分解から部分分数分解
というのは、常に頭をよぎって欲しい式変形です。
(これらを両方使うこともありますよ。)
そのためには、次数に注目する初動が重要になります。
次数確認!
分母2次、分子1次!
確認終了!
と心の中で叫びながら、次数を確認するクセをつけて欲しいですね。
頑張りましょう!