こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強のポイント、見どころ、落とし穴などを紹介する、
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅱ 式と証明 その6 不等式の証明、相加相乗平均の不等式
です。
今回が、数Ⅱ 式と証明の最後になります。
計算練習は順調ですか?
等式の証明で、複数の方針でアタックして遊んでいますか?
ここまで学習した内容も十分重いですが、不等式の証明も中々重いです。
これまで扱ったのは「等式」ですが、
不等式と等式では扱いの感覚が違います。
そのため、「なんか慣れないなあ」と感じるのが自然です。
等式との違いに注目しながら、練習していきましょう。
ポイント① 不等式の証明は(大きいもの)-(小さいもの)> 0 の方針一択
等式の証明では、定番の証明方針が複数ありました。
不等式の証明では、証明の方針は一択と言っていいです。
A > B
を示すときは、
A-B > 0
の証明に落とし込むのが基本です。
注意点は、
(大きいもの)-(小さいもの)
を考えることです。
例えば、
A < B
を示したいときは、
B-A > 0
の証明に持ち込みます。
もちろん、他の証明方法だって沢山あるのですが、
基本的にはこの方針だけでOKです。
方針が一択なため、方針選びについては、
等式の証明よりも悩まなくて済みます。
ポイント② 不等式特有のコツ! 「小さいもの」に置きかえる感覚を掴もう
等式の変形では出てこない、不等式特有のコツは
「小さいもの」に置きかえる
という操作です。
(「大きいもの」に置きかえることもあります。)
例えば、a > 0 , b > 0 のとき、
a+b > 0+0 =0
という風に計算します。
何をやっているかというと、
aを、aよりも小さい0に置きかえる(a=0を代入する)
bを、bよりも小さい0に置きかえる(b=0を代入する)
という計算をしました。
「等しくないものを代入する」ような操作をすることになります。
「等しくないのに代入していいの?」という疑問は真っ当です。
ですが、今扱っているのは「不等式」ですからね。
「等しくない」世界で話をするので、等しくないものを代入する
のだとイメージしておきましょう。
a > b という条件があれば、aをbに置きかえる(aにbを代入する)
x > 1 という条件があれば、xを1に置きかえる(xに1を代入する)
のような操作を積み重ねるのが、不等式を扱う1つのポイントになります。
(もちろん、この操作をしたときは「等式」ではなく、
「不等式」で式を繋ぐことになります。)
この、
「小さいもの」に置きかえて、等しくないものを代入していく感覚が、
不等式で重要です。
練習は、ここを意識しながら取り組んでいきましょう。
ポイント③ 2乗をつくろう! (実数)2≧0 を見逃すな!
不等式のコツとして、「2乗をつくる」のもポイントです。
背景にあるのは、
(実数)2≧0
という関係式。
この関係は、特に断りなく使ってOKの式です。
ポイント②の内容から、
(実数)2を見たら、「=0」と置きかえていけるのが不等式の世界です。
「=0」と置きかえるということは、実質「消える」ことと同じです。
いやいや、素晴らしい威力ですよね。
不等式の世界では、「2乗の形」がすごく扱いやすいのです。
常に、
「2乗の形にできないかな?」
と意識するのも、不等式の扱いで重要です。
ポイント④ ルートや絶対値は2乗して外そう
ルートや絶対値がついた不等式が出てくることがあります。
そのときは、
2乗してルートや絶対値を外す
を狙うのが手筋です。
ルートや絶対値は、計算の邪魔になることが多いですからね。
ただし、重要な注意点があります。
なぜ、両辺を2乗していいのか?
の理屈はきちんと理解し、意識しましょう。
A≧0 , B≧0のとき、
A ≧ B ⇔ A2 ≧ B2
というのが、不等式の両辺を2乗する際に意識する内容です。
『AやBが負の場合、2乗するとマズイ』
と思ってもOKです。
例えば、
-1≧-3
は正しいですが、両辺を2乗した
1≧9
は大嘘ですよね。
このように、両辺の2乗をとるときには、
「もともとの両辺は正なのか?」
に注意しないといけません。
(実戦的には、ルートや絶対値は負にならないため、
ルート・絶対値が絡むときはこの条件が満たされることが多いです。)
(注意 両辺を2乗するときに注意が必要なのは、等式でも同様です。)
ポイント⑤ 相加相乗平均の不等式は「正しい型」で練習する
最後に、有名不等式として
相加相乗平均の不等式
が出てくると思います。
a > 0 , b > 0 のとき、
(a+b)/2≧√ab
という不等式ですね。
この相加相乗平均の不等式は、大学受験の数学で非常に重要です。
主に最大・最小値を求めるときに使うのが有名です。
この相加相乗。決まった時の威力が凄まじいのです。
相加相乗を使うか使わないかで、答案の長さが全然変わります。
一方で、相加相乗平均の不等式は、
誤答量産機
の側面を持っています。
使用法を間違えると、一瞬でトンデモ誤答まっしぐら。
そういう、恐ろしい一面もあります。
まとめると、相加相乗平均の不等式は
ハイリスク・ハイリターンの諸刃の剣
と言えます。
とはいえ、トップレベルを目指す人なら、避けては通れない不等式です。
正しい使い方とその理屈を、すぐに理解するのは大変かもしれません。
そのため、今の段階では
誤答を起こさないための、相加相乗の正しい『型』
を習得することを目指しましょう。
相加相乗の正しい型とは、
㋐使用条件を確認する
㋑相加相乗をつかう
㋒等号成立条件を確認する
の3段階です。
このうち、もっとも大切なのは
㋒等号成立条件を確認する
ことだと思って下さい。
㋐使用条件を確認する
相加相乗の不等式には、前提条件がついています。
相加相乗の不等式を使うときは、きちんと
「〇 > 0」「◇ > 0」
の条件を確認しましょう。
㋑相加相乗をつかう
前提条件を確認したら、相加相乗を使います。
最大・最小を求めるときには、
〇≧(定数)
の形になるよう使うのがコツです。
㋒等号成立条件を確認する
これが最重要です。
相加相乗の誤答の原因は、
等号成立条件をみていない
ことです。
そのため、この等号成立条件さえ確認していれば、
誤答にはならないと言えます。
相加相乗の不等式を使うときは、必ず
㋐~㋒の型 を守って下さい。
この型を守れないと、相加相乗の不等式は使い物になりません。
練習問題に取り組むときは、
㋐→前提条件確認 問題なし!
㋑→不等式発動 放て!
㋒→等号成立条件 確認よし!
を3点セットで行い、クセにして下さい。
繰り返しですが、特に㋒。
ここをクセにすることが重要です。
後々、ハイレベルな問題に取り組めば取り組むほど、
この重要性が分かってきます。
いかがでしょうか。
式と証明の最後も、中々に重いですね。
不等式の証明は、「小さいものに置きかえる」感覚を掴むことを意識して、
練習しましょう。
相加相乗平均の不等式は、練習を通じて、
正しい型をクセにしましょうね。
ここで学んだ内容は、大学入試の数学でも実戦級の計算になっています。
そう簡単に習得できるものではありませんので、
粘り強く勉強していきましょう。