こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、見どころなどを紹介する
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅰ 2次関数 その1 関数の定義
です。
2次関数ですが、数Ⅰの鬼門と言っていいでしょう。
多くの生徒から、
「苦手」「分からない」「もういやだ」
などの悲鳴声を聞いてきました。
2次関数までくると、「入試標準レベル」と言っていいような問題も出てきます。
そのため、数学に苦手意識が無かった人でも苦戦することがあります。
厄介なことに、数Ⅱ以降で習う関数がらみの内容は、
2次関数で学んだ考え方を基本
として進みます。
さらに、大学入試実戦の数学では、
2次関数の内容に帰着させて解く
ことも多いです。
基礎の観点でも、入試の最難関クラスの視点でも、
今後の関数の扱いの基本になる単元です。
きっちり気を引き締めてのぞみましょう。
今回は、そんな「2次関数」に対応するための
「関数の基本」
に焦点を当てて紹介します。
ポイント① 関数って何?
「関数って何?」
と聞かれてパッと答えられますか?
ちょっと答えにくい質問だったかもしれません。
少し質問を変えましょう。
「yがxの関数」とはどういうことでしょうか?
……このような質問に対する答えを、「定義」といいます。
つまり、
「関数」って何?
の答えを「関数の定義」と言います。
ちょっと厳しいことを言います。
このような、「定義」をしっかり知らないと危険です。
今までは、
「y=ax+bとおいて、代入して……」
のような、
「関数のもんだいのときかた」
を覚えれば対応できたかもしれません。
ですが、今後の数学は抽象度が増していきます。
抽象的な議論に必要なのは、「もんだいのときかた」ではなく、
議論の出発点である「定義」です。
そのため、「関数って何?」と言われて、答えられないのは致命的です。
今後、「一体何をやっているのか、さっぱり分からない」という状態になっていきます。
ということで、最初の質問への答えを書きます。
xの値を決めると、それに対応してyの値がただ1つ決まるとき、
yはxの関数という
このように、
ある変数の値を決めると、それに対応して値が1つ決まる関係のことを、
関数という。
この定義をしっかり理解しましょう。
「対応関係」のことを関数と言うイメージです。
なんなら、最初は「覚える」でもOKです。
長期的な視点で言うと、
「もんだいのときかた」なんかより、
「定義」の方がよっぽど価値がありますよ。
ポイント② 関数の記号f(x)に慣れよう! 「代入」に注目!
さて、早速ですが新しい記号が出てきます。
「yがxの関数」であることを、
y=f(x)
のように表します。
今後、f(x)の記号をバンバン使います。
yも省略して、単に関数f(x)と言ったりします。
(精密には、f(x)は値のことを指し、
関数のことは単に「関数f」と呼ぶのが筋だと思います。
高校生は気にしなくてOKです。)
非常に幅広い使われ方をする記号なので、段々と慣れてくるとは思います。
最初の段階では、「代入」のところだけ習得しましょう。
f(x)=x+1
に対して、f(1)と言われたら、
「xに1を代入したもの」
という意味です。
f(1)=1+1=2
このような、「代入」の操作に慣れるのがポイントです。
え? 代入なんて、中学からやってるから楽勝?
いいですね、心強いです。
f(a)=a+1
f(x-1)=(x-1)+1=x
のように、
文字に文字を代入する
xにx-1を代入する
といった抽象的な操作が出てきますが、楽勝ですね。
……いえいえ、楽勝ではありませんよね。
「代入」という操作を1つとっても、
非常に抽象的な操作が今後出てきます。
そういった操作に、段々慣れていきましょう。
ポイント③ 関数のグラフって何?
もう1つ、定義を確認しましょう。
今度は、少し答えやすい聞き方をします。
関数y=x+1のグラフの定義は?
……「直線」は定義ではなく、グラフの性質です。
そもそも、グラフって何を意味しているのか?
が大切です。
関数y=x+1について、少し具体的な実験しましょう。
x=1のとき、y=1+1=2
x=2のとき、y=2+1=3
x=3のとき、y=3+1=4
……
xの値を決めると、yの値が1つに決まりますね。
(そもそも、これが「関数」の意味でした。)
すると、
(x,y)=(1,2)
(x,y)=(2,3)
(x,y)=(3,4)
……
のように、対応するx,yの値のペアから、xy平面上の点が決まります。
この
対応するペアの点を、集めたものが
関数のグラフ
です。
(ちょっと難しいですが、上級者向けに、
集合の記号を使って抽象的に表しておきましょう。
関数y=f(x)のグラフとは、
{(x,y)|y=f(x),xは実数}
です。)
別の見方をすると、
関数のグラフは、関数の対応関係を図形的に表したもの
と言えます。
「図形的に」という部分が大切で、グラフを利用することで
関数の情報を視覚的に処理する
ことができます。
これが関数のグラフをかくメリットです。
ポイント④ 「定義」に戻って、中学数学を振り返る
ここで、必ずやって欲しい大切な訓練があります。
中学数学で習った「関数」に関わる内容を、「定義」を理解した上で、
見直して欲しいんです。
「もんだいのときかた」を、「定義から理解する」作業です。
具体的には、次の2つの質問に対して答えられるようになりましょう。
㋐グラフが点(a,b)を通るとき、関数の式にx=a、y=bを代入するのはなぜ?
㋑2直線の交点が、連立方程式を解くことで求められるのはなぜ?
中学校の教科書にちゃんと「なぜ?」の説明が載っています。
簡単なことではありませんが、ここでしっかり復習しておくことが大切です。
何故なら、これからの高校数学では
㋐、㋑の操作をもっと抽象的に行う
ことになるからです。
さて、今回のるるぶ高校数学ですが、実はほとんどが中学校の内容でした。
関数やグラフの定義は、本来中学校1年生の内容です。
ただ、本当に重要なこの定義。
まったく意識していない人が多いのも、体感しています。
どのくらい重要なのかを、ちょっと大げさに言うと……
今回紹介した「定義」が分かっていないと、数学が得意にはなれません。
いや、これは少しも大げさではありませんね。
だから本当に、きちんと意識して下さい。
グラフって何か? が分からないのに、
グラフのかき方を勉強して、グラフがかけても意味がないんです。
入試標準レベルの応用問題には、手も足も出ません。
数学得意な人も、そうでない人も。
プライドを捨てて、しっかり中学校の内容を振り返りましょう。