大学受験エリートのSuuです。
この記事では、スタディサプリの映像授業について、
「オススメの視聴法」
「授業のポイント」
などを紹介していきます。
今回は、
高1・高2 トップレベル数学ⅠAⅡB 第37講
解と係数の関係
です。
解と係数の関係ですが、個人的に
正しい指導をされていない
と感じることが多い定理です。
『解の公式から計算すると……なんか、うまく関係が成り立った』
という定理ではありません。
あえて断言しますが、
「解の公式」と「解と係数の関係」は無関係です。
(解の公式から解と係数の関係を説明する人は、
5次以上の解と係数の関係はどう証明されると思っているのでしょうか……)
解と係数の関係のルーツは、解の公式ではなく
因数定理
にあります。
もっと平たく言うと、
因数分解
が解と係数の関係の親玉です。
まずは、堺先生の授業でこの心を習得しましょう。
因数定理・因数分解をベースとした「正しい証明の心」が最重要です。
解と係数の関係の「正しい証明」さえ理解できれば、
解と係数の関係がすぐに思い出せる
符号は+、ーどちらか? がすぐに判断できる
など多様な恩恵が得られます。
Chapter1
問題(1)の解説です。
解と係数の関係に関する、重要な基本が詰まっているチャプターです。
今回の講座の最重要チャプターです。
最初は、解の公式をベースとして解と係数の関係を証明しています。
これは、解と係数の関係の「正しい証明」ではありません。
(証明として誤りはありませんが、その「心」が正しくありません。)
もちろん、堺先生もそんなことは承知で説明しています。
視聴の態度としては、「失敗例」として見るぐらいでもOKです。
さて、では正しい証明は……と、その前に。
細かいですが、堺先生の小技もしっかり鑑賞しましょう。
方程式の話なので、両辺を好きな数で割ることができます。
そのため、
最高次の係数は0
として考えていいのですね。
地味ながら、こうすることで解と係数の関係がスッキリした式になります。
そして、解と係数の関係の「正しい証明」に入ります。
授業動画の時間で言うと、14分40秒ごろからの証明です。
非常に簡単なので、この記事でも証明しておきましょうか。
【証明】
x2+bx+c=0
の2解がα、βだとすると、
因数定理により、
x2+bx+cは(x-α)と(x-β)で割り切れる。
よって、元の方程式の左辺を因数分解すると
(x-α)(x-β)=0
となる。
展開して、元の方程式と係数を比較すると、
αβ=-b
αβ=c
たったこれだけです。
ポイントは、因数定理。
解が分かっていれば、因数分解の形が分かる。
そして、因数分解の形と、元の方程式の係数を比較すればいい。
という議論をしているだけですね。
この議論なら、3次、4次、5次、……と、何次の方程式に対しても適用できます。
解の公式なんて知らなくても(あるいは、存在しなくても)、
解と係数の関係だけはすぐに分かるのが面白いですね。
堺先生の説明と順番が変わりますが、この「正しい証明」を習得できれば、
色々なことが分かります。
①解が実数か複素数かは無関係に使える
因数分解がキーなので、使っているのは4則演算だけとも言えます。
そのため、解と係数の関係は、複素数解が出る場合でも問題なく使えます。
複素数の範囲での因数分解を考えればいいだけですからね。
むしろ、複素数解がでる場合の方が恩恵が大きいかもしれません。
解が実数なのか? 複素数なのか?
をまったく考えずに議論できますからね。
②解の公式で具体的な解を求めるのはナンセンス
解と係数の関係の面白いところは、
具体的な解が分からないのに、
解の和や差が方程式の係数から分かる
という点です。
そのため、解の公式を使って、具体的な解を求めてしまうと……
解と係数の関係の意味がなくなってしまいます。
大学入試の実戦的な視点からすると、堺先生の言う通り、
「解の公式を使わないため」
に利用するのが、解と係数の関係とも言えます。
また、次のような恩恵もあります。
③忘れてもすぐに思い出せる
証明のカラクリさえ分かっていれば、
(x-α)(x-β)=x2-(α+β)+αβ
という展開と、
x2+bx+c
の係数を比較すればいいと分かります。
このぐらいなら暗算でも余裕ですよね。
④3次、4次の解と係数の関係も同じ方針で導ける
因数定理がキーなので、方程式の次数は無関係です。
高次の場合でも同じ証明ができるため、簡単に証明できます。
「解の公式」をベースとして「誤った心の証明」と、
因数定理をベースとした「正しい心の証明」で、
見える景色が全然変わります。
ぜひ、正しい心で解と係数の関係を習得しましょう。
Chapter2
問題(2)を扱うチャプターですが、4次の場合にも触れています。
解と係数の関係は、証明自体は何次の場合でも同じです。
そのため、チャプター1で正しい心が見えたのなら、
ある程度飛ばすのもアリかもしれません。
とはいえ、
2次、3次、4次の解と係数の関係を並べて、
その法則性を見せてくれるパートは面白いです。
一度は視聴しましょう。
時間でいうと、8分30秒ごろからのパートです。
解と係数の関係が、スッと覚えやすくなります。
Chapter3
問題(3)を扱うチャプターですが、問題(3)自体はあまり重要性がありません。
解と係数の関係の、正しい証明が分かっていれば何次でも同じだからです。
このチャプターで面白いのは、5分30秒ごろ以降の
解と係数の関係の使用例
です。
例1~4はどれもおさえて欲しいところですが……
個人的に好きなのは、例1ですね。
この例1はイチオシです。
この例1ですが、
解の公式→解と係数の関係
という考え方だと、中々浮かびにくい使い方です。
ですが、正しい考え方が分かっていると、
非常に素直な使い方だと感じられます。
ぜひ、実戦でも浮かぶようにしておきましょう。
(例1についての補足です。
方程式だけみつけて、解の公式は使わず、
方程式の関係式のみを利用することもあります。)
さて、ここからは余談として、発展内容を紹介します。
一般に、
「1変数多項式=0」の方程式に対して、
その「解の差積の2乗」を判別式といいます。
具体的には、
2次方程式の2解α、β
→(α-β)2 が判別式
3次方程式の3解α、β、γ
→{(α-β)(β-γ)(γ-α)}2 が判別式
と言った具合です。
(2次の場合は、みんなが知っている判別式と一致しますね)
このとき、判別式の定め方から直ちに
元の方程式が重解をもつ⇔判別式=0
が成り立ちます。
このように、重解の判定ができる道具が判別式です。
(実数解がどーこー、という話をするのは2次のとき限定です。)
おっと……1つ、判別式の定め方で疑問がありますね。
「2乗」は何のためにあるのでしょうか。
重解の判定だけなら、2乗はなくても問題ありません。
この2乗の働きは、判別式を、
解の対称式にする
ためについています。
2乗がないと交代式ですが、2乗があるおかげで対称式になりますね。
そして、解の対称式なら……
解の基本対称式で表せる
ことになります。
そして、解の基本対称式は……
解と係数の関係から、元の多項式の係数そのものです!
まとめると、
「多項式=0」の方程式がある
→解と係数の関係を利用して、判別式が具体的に計算できる
→判別式の値を見れば、重解をもつかどうかが分かる
となります。
つまり、方程式の解が何か? はまったく分からなくもても、
重解のをもつかどうか?の判定ができるのです。
上手いカラクリですね。
もしも興味がある人は、
3次方程式x3+px+q=0
に対して、その判別式、
D={(α-β)(β-γ)(γ-α)}2
を計算してみましょう。
もしかしたら、見たことのある式が出てくるかもしれませんよ。