このカテゴリーでは、参考書・問題集おススメ4選を使って学習する際に、前もって知っておきたいことをIzu(いず)が質疑応答形式でお話しします。
第20回は、政治・経済【全カテゴリー共通】編です。
これからの政治・経済(政経)の学習にお役立てくださいね。
① 日本史・世界史が苦手な場合、政経を選択するのはどうですか?
確かに、政経は日本史・世界史と比べて覚える量は少ないですね。
書店で「用語集」を比較しても、日本史や世界史の方が分厚いことが分かると思います。
ですが、安易に政経を選択科目に据えるのは、少々リスクも伴います。
まずは政経選択のメリット・デメリットを、丁寧に説明していきますね。
~政経選択のメリット~
◇ 暗記量そのものは少ない
これは上でも書いた通りです。
日本史・世界史と比べると、必要な暗記量は6割前後くらいになるイメージですね。
その分、1つ1つの単元に深い理解が求められるので、背景や理由を考える学習が苦でない方に向くと言えます。
とはいえ、暗記も当然必要な科目ですので、ある程度の覚悟はしておきましょう。
◇ 日本史・世界史ほど導入に時間を要しない
中学の「公民」の延長線上にきますので、とっつきやすい方が多いかと思います。
日本国憲法・三権分立・地方自治・国際機関(国連など)・需要と供給・財政政策・金融政策…
どれも公民で学習する学習であり、政経ではさらに詳しく理解することになります。
また、暗記量も日本史(中学歴史の延長線上)ほどではない訳ですから、強い苦手意識を感じる方は多くはありません(元々公民が苦手だった方くらいでしょうか)。
ですので、導入の学習は比較的スムーズに進んでいく方が多く、全範囲の導入にさほど時間がかからない、といったカラクリになりますね。
◇ 普段のニュースも「勉強」の一環になる
例えば夜のニュース番組で、日本史の知識を深めるようなニュースはなかなかありませんよね。
ですが、時事ニュースは政経の内容につながるものが多いです。
例えば、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、ウクライナからの難民支援に~」というニュース。
国際連合の勉強で、WHOやUNICEFなどといっしょに「UNHCR」も勉強するはずです。
このニュースを聞いて「あれ、UNHCRってなんだっけ?」と思い、パッと調べることも政経の勉強になりますね。
これはそのまま、「時事問題」の対策にもなりますので、政経選択者は普段から時事ニュースに耳を傾けるようにしましょう。
中には、ご家庭で読まれている新聞から、政治・経済の主要なニュースを切り取って時事問題対策用に専用ノートを作っている方もいますね。
志望大学・学部の政経で「時事問題」が出題されるかはさておき(早稲田大学は必ずと言っていいほど出題されますが)、理解を深める上でも普段のニュースはチェックする習慣にしましょう。
~政経選択のデメリット~
◆ 受験できる大学・学部が限定される…
なんといっても最大のデメリットはこれですね。
商学部・経営学部・経済学部・法学部(政治学科)といった「政経」の学習内容と近しい学部は政経選択で受験できる場合が多いですが、それでも絶対ではありません。
逆に、文学部や教育学部は、政経は受験科目に採用していないことがほとんどです。
加えて、最難関私大になると政経と関連の深い学部であっても、政経が受験科目になっていないことも多いんです(例えば慶応大学がそうですね)。
ですので、ご自身の第一志望大学・学部はもちろん、併願予定校も含めて政経で受験ができることが確定していない場合は、ご自身の選択肢を大きく狭めることにもなりかねませんのでご注意ください。
◆ 参考書・問題集の種類がそう多くない…
日本史・世界史に比べて政経選択者は圧倒的に少ない訳ですから、当然市販の参考書・問題集も種類は乏しくなります(地理にも同じことが言えますね)。
ですので、比較対象が少ない分、数ある中から厳選して「自分にピッタリ合った」ものを探すということが難しいんですね。
自分にとって「満点」の参考書・問題集に巡り合う可能性が少ないとでも言ったらよいでしょうか…
ですが、迷いようがないという点で、これはメリットになる方もいると思います。
どちらにも共通して言えるのは、これをやると決めたものをしっかりやり遂げる、ということですね。
「満点」ではなくても「80~90点」の参考書・問題集であれば、絶対に力になりますからね。
◆ 高校では「早い学年」で授業が完了してしまうことが多い…
政治経済の授業、高校では何年生の時にやりましたか?
これ、割と「高1」と答える方が多いんですね。
高1でまさか政経が受験科目になるなんて、おそらくほとんどの方が考えていないでしょう。
失礼な言い方かもしれませんが、定期試験前に知識を詰め込むくらいの勉強しかしてこなかった方が圧倒的に多いはずです(そうでない方、誠に申し訳ありません)。
ですので、選択科目を「政経にしよう!」と決める頃には、学習したはずの内容がほとんど抜け落ちているなんてことも普通です。
いわば、ほぼ「独学」のように最初から進める訳です。
政経選択者そのものもレアですから、政経の受験勉強は「自分の世界」に閉じこもったものになりがちです。
負担がやや軽い科目とはいえ、独りで黙々と、コツコツとやれる方でないと、思うように勉強が進まない可能性もなきにしもあらずですので注意してください。
② 政経はどのように勉強を進めていけばいいですか?
日本史・世界史とは異なり、政経は一貫した「流れ」がありません。
分かりやすく言いますと、各単元の独立性が高い、ということになります。
ですので、経済分野を先に学習し、政治分野を後回しにする、といった学習も可能となります。
とはいえ、イチから学習を始めるのであれば、参考書の順(政治分野→経済分野)に進めた方がやりやすいのではないかと思います。
この参考書ですが、政経は特に「最新のもの」と使うようにしましょう。
現代の社会に通ずる学問ですから、数値なども当然年々変化してくる訳です。
(分かりやすい例で言えば、衆議院議員の定数は2022年現在465名ですが、これは2016年3月に改正が成立したばかりですね。)
中古の参考書ですと、最新の情報に対応していない可能性があるため、最新版を準備しておきましょう。
もちろん、参考書だけでは不十分です。
日本史・世界史ほどではないとはいえ、暗記事項もたくさんありますからね。
ですので、参考書に加え、用語集と一問一答を手元に用意しておくことは必須です。
基本は参考書をイチから理解していき(経済分野から先にやっても問題はありません)、登場する重要用語は用語集で正確に理解・暗記をするようにしましょう。
例えば、「ビルトインスタビライザー」という言葉が出てきたとして、何となく「自動安定装置」くらいのふわっとした理解でいると、正誤問題などで通用しない可能性があるからです。
【参考書+用語集】で理解を深めながら学習を進め、区切りのいいところまで進んだら【一問一答】などで基本用語をアウトプットする時間を設け、正しく知識が引き出せるかを確認します。
この【参考書→用語集→一問一答などでのアウトプット】のサイクルで全範囲の導入が終了してから、問題演習に移るようにしましょう。
導入完了の目安ですが、「高3の夏休み終了まで」がリミットです。
高3の夏休み明けから総合演習・過去問演習にスムーズに移れるよう、計画的に導入学習を進めてください。
③ 導入が済んだ後は問題集と過去問でひたすら演習すればいいですか?
政治→経済(または経済→政治)と学習がひと通り終わったら、いよいよ問題集・過去問を用いた総合演習に入ります。
上にも書いた通り、遅くとも高3の夏休み明けくらいからは、問題集を使っての得点力強化に入れるように、計画的に導入を進めましょう。
それはさておき、入試レベルに近い問題での演習となると、解き始めの頃は間違いが多発することが予想されます。
その不正解問題をどれだけ復習で掘り下げられるかが、入試での得点力を左右します。
例えば、正しい選択肢を1つ選ぶ正誤問題で、正解ではない選択肢を選んでしてしまったとします。
ご自身が選んだ選択肢は、「正しい」と思って選んだはずですので、その周辺の理解があいまいだったのか、はたまた用語そのものが頭に入っていなかったのかなど、間違えた原因をしっかり分析します。
解説を読むことは当然として、参考書・用語集に戻って、間違えた問題の周辺事項まで再度確認するとよいですね。
逆に、本来は正解の選択肢を、ご自身は正解だとは思わなかった訳ですから、こちらもやはり周辺事項を入念に確認する必要がありますね。
このように、間違えた問題もしくは根拠が不明瞭な問題はとことん復習で深堀りし、ご自身の理解と知識の補強に役立ててください。
ある程度の期間を要しますが、得点力強化のためには必須な過程です。
間違えた問題には採点段階で✔印を入れておき、2周目の際に正しい理解を「引き出す」ように丁寧に解きましょう。
「2周目」と書きましたが、問題集は入試レベルよりやや易しめな問題集1冊、入試レベルの問題集1冊は最低限用意し、どちらも最低限2周しこれまでの理解を実戦向けのものに仕上げていってくださいね。
そして直前期は、志望大学・学部の過去問演習です。
過去問演習で注意を払うべき点は、制限時間は当然として、もう1点、「傾向」です。
時事問題が出題される、必ずと言っていいほど日本国憲法の条文から出題される、戦後の国際政治が大問で出やすい、など、受験する大学・学部の問題には何らかの傾向が見られるはずです。
(傾向がないのが傾向です、という場合もありますが…その場合は「総合力勝負」ですね!)
よく出題される分野で、失点が多い場合は、直前期に早急につぶしておきましょう。
最後になりますが、政経の問題集は、日本史や世界史と比べるとどうしても数の乏しさは否めません。
このサイトでは、その中から特におススメな問題集を各カテゴリーでレベル別に4冊ずつご紹介していますので、そちらも併せて参考にしてください。
(1冊目に「共通テスト対策問題集」を持ってくるのもアリです!)
以上、よくある政治・経済の「全カテゴリー共通」に関するQ&Aでした~!
現役生の中で最も点差がつきやすい選択科目、政経を選択する方は、そのデメリットよりもメリットが大きいと判断した方でしょうから、確固たる得意科目とするよう、細かく学習を進めていってくださいね。