こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学のポイント、見どころなどを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 2次関数 その8 2次関数の決定
です。
→前回
今回の話題は、
「〇〇をみたす2次関数を求めよ」
タイプの問題です。
もっと早い段階で学習しているかもしれませんが、
このタイミングで触れさせて下さい。
ポイント① 2次関数のどの形を使うのか? を考える
2次関数は、次のように複数の表し方があります。
㋐ y=ax2+bx+c (一般形)
㋑ y=a(x-p)2+q (平方完成)
㋒ y=a(x-α)(x-β) (因数分解)
2次関数の決定に対する対応は、初動が重要になります。
㋐~㋒のどの形を選択するのか?
の最初の判断が大切です。
判断基準を考えるため、
それぞれの形の特徴を整理していきましょう。
㋐ y=ax2+bx+c (一般形) →代入操作と相性がいい
y=ax2+bx+c の形は、代入操作との相性が良好です。
例えば、x=1,y=1を代入すると
1=a+b+c
となります。
残る文字a,b,cについて、1次式になる点がいい点です。
他の形では、代入した後に残る文字が2次以上になったりします。
そのため、他の形に比べて代入操作との相性がいいと言えます。
他の良い点は……気分的な問題ですが、
「これぞ、一般形」という感じがするところでしょうか。
逆に悪いところも見ておきます。
グラフの重要な情報である、頂点や軸について分からない
y=0のときの解がすぐに分からない
などが難点です。
平たく言って、素朴な代入操作には適していますが、
突っ込んだ情報を処理するには向かない形です。
そのため、この一般形の主な出番は、
通る3点が分かっている場合
です。
㋑ y=a(x-p)2+q (平方完成) →軸・頂点、最大・最小と相性がいい
y=a(x-p)2+q の形は、軸や頂点の情報がすぐに分かります。
そのため、軸・頂点に関わる問題との相性がいいです。
また、派生として最大・最小に関わる問題とも相性がいいですね。
最大・最小の問題では、軸・頂点の情報がキーになるからです。
逆に難点は、代入操作との相性が悪い点です。
展開すると、「ap2」という項が出てきます。
複数の文字が絡んだ3次式で、ちょっと困ります。
y=0のときの解もすぐには分からないのも難点です。
ただし、解の公式を導く途中の形が平方完成なので、
一般形ほど相性が悪くはありません。
主な使いどころは、
軸や頂点が分かっている
最大・最小についての条件が分かっている
ときです。
補足
X=x-pと置けば、
y=aX2+q
となります。
置き換えを通すと、実質的には
「1次の項がない、2次関数の一般形」
と言えます。
「2次関数は必ずこの形に変形できる」
という感覚なので、この平方完成の形を「標準形」と呼ぶことがあります。
㋒ y=a(x-α)(x-β) (因数分解) →方程式の解と相性がいい
y=a(x-α)(x-β) の形は、y=0のときの解がx=α、βとすぐに分かります。
そのため、方程式の解との相性が抜群です。
図形的には、グラフとx軸の交点の情報がすぐに分かると言えます。
代入操作とは相性がいいとは言えませんが、
軸の位置は割とすぐに分かります。
ちょっと知識が必要ですが、
x=(α+β)/2
が軸になります。
もう少し知識があると、
(α-β)2 が頂点のy座標
ということも分かります。
(実は、これが判別式Dです)
使いどころはやはり、
y=0のときの解が分かっている
グラフとx軸との交点が分かっている
ときです。必殺の威力があります。
ポイント② 色々な形を使いこなす練習をしよう!
2次関数の色々な形と、その強み・弱み、使いどころを見てきました。
2次関数の決定の問題触れるときは、
なんでその形を使うのか?
を自分なりに理由付けして、解いていきましょう。
これは、今後のために重要です。
これから習う高校数学や、大学入試の実戦問題では、
常に
どの形を使うのか?
を考えていくことになります。
それも、2次関数に限らずです。
ちょっとした例を出しましょう。
中学校で習った、1次関数です。
1次関数といったら、
y=ax+b
が一般形です。
実は、このシンプルな1次関数でも、
他の形を使いこなせると実力がグンと上がります。
例えば、通る点(p,q)が分かっているなら、
y=m(x-p)+q
の形から処理した方が早いですね。
あるいは、グラフとx軸の交点が分かっている場合は
y=m(x-α)
から初動した方が見通しがいいです。
ちょっと高級な初動ですと、
『2直線y=x+1,y=-2x+3の交点を通る』と分かっている1次関数なら、
(x-y+1)+k(-2x-y+3)=0
の形から初動するとカッコいいです。
(これらの内容は、数Ⅱの図形と方程式で学習します。)
実戦的な問題になればなるほど、どの形を使うのか?
が非常に大切になってきます。
色々な場面で、この判断を迫られます。
2次関数の決定は、この判断の練習にちょうどいい難易度をしています。
今のうちから、
1つのものを、複数の形で認識する
問題に合わせて、適した形を判断して利用する
ということを意識して、2次関数の決定の練習をしましょう。
次回はいよいよ、2次関数の最終回です。
「解の配置問題」が登場します。
ラスボスと呼ぶにふさわしい問題ですので、
今から気合を入れましょう!