このカテゴリーでは、参考書・問題集おススメ4選を使って学習する際に、前もって知っておきたいことをIzu(いず)が質疑応答形式でお話しします。
第23回は、物理【全カテゴリー共通】編です。
これからの物理(物理基礎+物理)の学習にお役立てくださいね。
① 物理と化学どちらを選択するかはどう判断すればいいですか?
数学が得意、または国語が苦手などの理由で「理系志望」とする高校生もいますね。
この場合、理科のメイン科目がなかなか決め切れないこともあります。
理系志望の場合、【英語+数学+理科1科目】が基本となりますが、理科2科目必要な国公立大学・最難関私立大学の受験を視野に入れる方もいるでしょう。
物理と化学で迷っている場合、おそらく理科2科目の大学を受験するのであれば【物理+化学】での受験になるかと思います。
もちろん、理科1科目で受験できる大学も併願校の候補に入るでしょうから、どのみち理科のメイン科目をどちらにするのかは決める必要が出てきます。
この「メインの理科」を決める際、「どの科目が現時点で点数を取れそうか」だけで判断してしまうのは、あまりおススメできません。
というのも、理系の大学に進学すると、「理科」の学習内容が大学で深める研究内容に直結することが多いからです(もちろん数学科であれば「数学」になるんでしょうが)。
ですので、理科選択の決め方は、志望学部・学科からの逆算が理想的です。
物理でいくつかの例を挙げますと、【工学部(化学系・生物系学科を除く)/理工学部(物理系)/理学部(物理系)】は、理科のメイン科目は物理にするのがいいですね。
志望大学・学部・学科を定める際に、ご自身が大学で研究したい内容に最も関係が深いのはどの科目か、という視点で理科の選択科目(2科目受験の方はメイン科目)を決定するようにしましょう。
(もちろん、物理が好き・得意→大学の研究は建築系をやってみたい!→物理をメイン科目にする!となるのもいいことですよ。)
念のため確認しておきますが、例えば工学部だからといって物理でしか受験できないという訳ではありません。
中には、化学選択で工学部を受験する、といったような受験生も存在します。
この場合、工学部の中でも化学メインの研究(応用化学系統にに興味がある方でしょうかね)をしたい方なのかもしれませんし、化学で受験できる併願先の1つとして受験しているだけなのかもしれません。
結論としましては、大学でやってみたい研究テーマを明確にし、その土台として最も関わりが深い科目を選択するようにしましょう(好きでもない科目を基礎とする研究を大学でやりたいと思う方はあまりいないとは思いますが)。
② センサー物理はどう活用したらいいですか?
センサー物理は、代表的な「教科書傍用問題集」の1つですね。
【セミナー〇〇/センサー〇〇/リードα〇〇/Excel〇〇 ※〇〇には科目名が入ります】
お通いの高校で上記のいずれかの問題集を配付されている方が多いのではないでしょうか(高2になるあたりで配付される高校が多いですね)。
センサーに限らず、いずれも「物理の基礎固め」をするのに最適な問題集ですので、せいぜい定期試験前にやるくらい、といった使い方は「宝の持ち腐れ」と言っても過言ではありません。
もちろん、物理が受験のメイン科目にならないことが確定しているのであれば、定期試験前限定の活用になるのもやむを得ないとは思います。
ですが、物理が理科のメイン科目になる可能性が高いのならば、普段の学習に組み込んだ方がいいことは明らかですよね。
現役生の場合、入試本番での理科(物理に限らず)の得点力の差は、スタート時期によってかなり左右されます。
志望学部・学科を早期に決めることによって理科のメイン科目が定まり、受験を意識して早期に理科の学習を始めることができる訳ですから、いかに【志望学部決定】が重要かが分かります。
(志望学部が決まっていない→理科メイン科目が定まらない→本格スタートが遅れる、というループに入らないようにしましょう。)
ひと通り全範囲の導入が終わるまでの物理の受験勉強は、「教科書傍用問題集を完璧にマスターする=絶対に達成すべき目標」とし、普段から学習を進めていきましょう。
では、普段の学習はどのように進めればいいでしょうか。
ここまでの話の流れで見当はつくと思いますが、まずは教科書傍用問題集を高校の授業進度に合わせて「溜めずに」進めることです。
言われなくても分かります…と思っている方が多いでしょうが、この「最低限」をやり切れない高校生が多いんですね。
特に高2の間は、部活動が忙しかったり数学や英語が難しくなってそちらに学習時間を取られたりで、物理の学習を日常学習に組み込めず、いつのまにか定期試験前にまとめてやらざるを得ない状態に…となることが往々にしてあるのです。
例えば、高校の物理の授業で「運動の法則」に入ったとします。
慣性の法則?運動方程式?作用・反作用の法則?とか授業でやった気がするけど、ちゃんと理解はできているのか自信はないなぁ、などと思う訳ですよ。
それを、次回の授業までに教科書or配付プリントで基本事項を確認し、問題集の該当部分を「記憶が新しいうちに」取り組むことで定着を図ってほしいですね。
その上で、解説を読んでもいまいち腑に落ちない問題があれば高校の先生に質問するといいのではないでしょうか。
先生も「しっかり勉強しててえらいね!」と好印象を持ってくれるでしょうし、ご自身の学力向上にもなる訳ですから、まさに一石二鳥ですよね。
教科書傍用問題集を中心とした勉強に慣れてくると、「志望大学レベルに対応できる参考書がほしいなぁ。」さらには「入試標準レベルの問題にもチャレンジしたいなぁ。」などのように、意識が高まってくることもあります。
鉄は熱いうちに打て、ですね!
物理を受験科目にすると決まっているのであれば、志望大学のレベルに対応する参考書を1冊、そして学習した内容を入試基礎レベルで演習できる問題集を1冊、物理学習が軌道に乗り意識が高まったタイミングで揃えましょう。
高校の授業が「先生オリジナルのプリント」で進んでいる場合、得てして「保管」が雑になってしまい、後で復習がやりにくくなる場合もありますよね…
(定期試験前に「あれ!?プリント足りない!!」なんて経験はないですか?笑)
このサイトでは、物理のおススメ参考書と入試基本演習に適した問題集を、それぞれレベル別に4冊ずつご紹介していますので、メイン科目に据える覚悟が決まった方は、ぜひそちらも併せて参考にしてください。
さいごに、入試で理科が2科目必要な方(理系国公立大や最難関私大志望だとこのケースに当てはまることが多いですね)へお伝えしておきます。
このページ(物理)をご覧になっている方の場合、ほとんどが【物理+化学】で考えているのではないでしょうか。
高3になって物理・化学を受験向けに同時スタート・同時進行で鍛えていくのは、時間が足りなくなる可能性が高いです(高3では数学Ⅲの学習にもかなり時間を割きますからね…)。
ですので、物理系統を志望する方は、高2から先に物理を【参考書理解+教科書傍用問題集活用+入試基礎レベル問題集活用】の学習サイクルでスタートさせましょう。
(もし物理1科目受験の大学に絞ることになったとしても「ムダ」にはならないので…)
理科2科目受験者の成功の必要条件は、メイン科目の受験勉強を先行スタートさせることです。
物理を揺るぎない得点源科目にできるよう、時間のやりくりを工夫し頑張ってくださいね。
③ 志望大学レベルに引き上げる演習はどう進めればいいですか?
まずは基礎をしっかり固める、これは言わずもがなですね。
基礎事項の学習のやり方は、上の②で述べた通りです。
再度確認しますと、基本は高校の授業進行に合わせ、参考書で受験向けのポイントを中心に理解・整理し、教科書傍用問題集で基礎事項を中心としたアウトプットをします。
これに加え、別の大学入試用問題集を用意し【入試基本演習】まで手を広げることができれば、申し分のない学習だと言えます。
「単元別(例:摩擦/円運動)」になっている問題集であれば、基礎固め進行中であっても解ける問題・まだ解けない問題が分かりますので、並行して学習できますね。
(問題が単元を縦断するような「総合問題」タイプは、入試基本演習の段階では未習部分があるため時期尚早です。)
他の科目との学習バランスを崩さない範囲内で、高2生であったとしてもこの「入試基本演習」も普段の学習に取り入れられるといいですね。
(普段は教科書傍用問題集で手一杯な方は、高3の1学期~夏休み中までの期間に時期をずらして「入試基本演習」に取り組みましょう。)
また、理科2科目受験(物理+化学)が必要な大学まで視野に入れている方は、②でも述べた通りメイン科目の方を、高2のうちから「入試基本演習まで」普段の学習に組み込むようにしましょう。
そしてここで1つ、注意しなければならないことがあります(全員に当てはまるものではありません)。
それは、高校での導入が高3の2学期以降まで続くカリキュラムの場合です。
(例えば、力学→波動→熱→高3の2学期~「電磁気・原子」、といったようなカリキュラムです。)
遅くとも高3の夏休み明けからは、総合問題での演習→過去問演習で得点力をつけていく「実戦想定演習」に学習の軸を移さなければなりません。
この実戦演習期間を充分に取れないと、得点力がつききる前に入試本番を迎えてしまう可能性が高くなるからです。
これが、現役生が理科で差をつけられてしまう要因の1つになるのです。
では、どうするべきなのでしょうか、残された選択肢はこれしかありません。
高3夏休みで「残り範囲の導入」を先に自分で進めることです。
高3の2学期以降に学習する範囲(電磁気~が残ることが多いですね)は、参考書を活用しながら高3の夏休みで「独力で」導入までやってしまいましょう。
未習単元がなくなりましたら、いよいよ完成期=総合問題演習メインの学習に移行します。
問題集も「入試レベルを意識した」総合問題タイプのものを使うことになります。
総合問題になりますと、いくら基本を単元別に丁寧に学習してきた方といえども、解き始めの頃は間違いが多発することが予想されます。
その不正解問題をどれだけ復習で掘り下げられるかが、入試での得点力を左右します。
例えば、「電磁誘導」に関する問題が出され、正解にたどりつけなかったとします。
電磁誘導といえば、ファラデーの電磁誘導の法則、レンツの法則、自己誘導、相互誘導など、物理選択者であれば必ず通った道ですね。
当然、基礎事項は理解し問題に臨んでいるはずです。
ですが正解を出せない、これ即ち「電磁誘導=ご自身の理解が浅い分野」と捉えます。
問題集の解説を読むことは当然として、さらに参考書に戻ってその分野を周辺事項まで再度理解を徹底するとよいですね。
理解のし直しが終わったら、もう一度その問題に戻って最初から解き直しをし、復習完了としてください。
このように、間違えた問題はその分野を参考書に戻ってもう一度理解をし直し、点数に結びつかない単元を1つ1つ地道につぶしていくことが重要です。
もちろん時間はかかってしまうと思いますが、得点力強化のためには必須な過程です。
既に「応用問題でも得点できる」単元をいくら深めたところで、全体の得点はそんなに変わるものではありませんからね。
失点してしまいがちな単元を消し込んでいく学習の方が、直前期は有効であることに異論はないかと思います。
また、間違えた問題には必ず✔印を入れておき、2周目の際に正しい理解を「引き出す」ように丁寧に解きましょう。
「2周目」と書きましたが、応用演習段階において問題集は志望大学の入試レベルより気持ち易しめな問題集1冊、入試レベル相当の問題集1冊は最低限用意し、どちらも最低限2周して得点力を高めていってくださいね。
(入試までの残り期間次第では、2周目は✔印が入っているものだけにするなど、進め方は工夫しましょう。)
因みに、このサイトでもおススメ問題集を応用演習①/②とそれぞれレベル別に4冊ずつご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
そして直前期は、志望大学・学部の過去問演習です。
過去問演習で注意を払うべき点は、制限時間は当然として、もう1点、「傾向」です。
力学絡みの問題が配点の5割を占める、波動に関する大問が1つ出題される、電気の問題は毎年解きにくい、など、受験する大学・学部の問題には何らかの傾向が見られるはずです。
よく出題される分野であるにもかかわらず失点が多い場合は、直前期につぶすべき最優先項目であると捉え、集中的に学習をし直しましょう。
以上、よくある物理(物理基礎+物理)の「全カテゴリー共通」に関するQ&Aでした~!
理科(物理に限らず)は、「時間をかけた現役生」「準備不足の現役生」で得点が大きく差がつく科目です。
自信を持って入試に臨めるよう、大学で何を研究したいのかを思い描き、理科のメイン科目を早期に決め、高3を迎える前から地道に頑張っていきましょう(現役生の場合このスタートの早い遅いで大きく得点力が変わりますのでね)!