中学受験算数の「てこ」の攻略は「つり合いの式」にあり!|大学受験エリート

中学受験算数の「てこ」の攻略は「つり合いの式」にあり!

 

 

中学受験で出題される「てこ」の問題。しかし苦手意識をもつ受験生は多いでしょう。

 

公式に当てはめればいいと分かっても、当てはめる数字さえ分からない場合もあります。

 

 

そこで今回はまず「てこ」の基礎的な内容を確認します。

 

事例や例題に基づいて一緒に解いていきましょう。

 

そして「てこ」の原理をもとにした「つり合いの式」の発見まで進みます。

 

 

解き方のコツが分かれば、苦手意識を少なくできます。ぜひ通してお読みください。

 

 

そもそも「てこ」の原理とは?

 

「てこ」の原理とは「小さな力で大きな力を生み出す原理」をさします。

 

「てこ」の原理:3つの点とは?

 

例えば大きな石を手で持ち上げられなくても「てこ」の原理を使えば簡単です。

 

ここでは石を持ち上げる状況をイメージしながら、重要な3つの点を確認しましょう。

 

 

まず、支えにするコンクリート△と長めの丈夫な棒を用意します。

 

図のようにコンクリートを石の近くに置き、石の下部に棒を入れます。

 

 

長めに持った棒を上から「よいしょ」と押せば石を動かせます。

 

ここに「てこ」の重要な要素があります。次の3点です。

 

・支点:支えて動かない点(コンクリート)

・力点:力を加える点(手・腕)

・作用点:加えた力が働く点(石)

 

重要なのが、支点(コンクリート)の位置です。

 

力点と作用点は、ある意味どうしようもありません。

 

つまり石の重さを変えられないし自分の力もスーパーマンのようになれません。

 

 

ただ、支点だけは変えられますね。コンクリートの位置を変えるのです。

 

「てこ」の原理の「小さな力で大きな力を生み出せる原理」の秘密は支点にあり!

 

次章で「つりあう力」につながるポイントを解説します。

 

 

「てこ」の原理:回転しようとする力とは?

 

ここでは、力の向きに着目しましょう。まず作用点の石に着目。

 

石にはもちろん重力がかかるので力の向きは下向きです。

 

これを「回転しようとする力」といいます。

 

 

そして力を入れる場所の力点はどちらに働くでしょう。

 

そうです、下向きの「回転しようとする力」が働きます。

 

 

前者は反時計回りの「回転しようとする力」で後者は時計回りの「回転しようとする力」ともいえます。

 

この両者が同等なら完全に釣り合います。つまり、石が持ち上がるのです。

 

 

 

「てこ」の原理:つり合いの力とは?

 

重いものをわずかな力で持ち上げる……。

 

それにはまず「つり合いの力」がどのようにして生まれるのか、その仕組みを知る必要があります。

 

ここでは「つり合いの力」の背景を解説します。

 

 

石を持ち上げる際、用意した棒。先ほど、棒を持つ位置を”長めに”とお伝えしました。

 

この「長さ」が支点(コンクリート)からの距離になります。

 

 

 

例えばシーソーの支点は真ん中です。

 

大人と子どもがシーソーをする場合、左右隅にそのまま座ると子どもは跳ね上がりますね。

 

大人はそれが分かっているので”加減”します。

 

 

先ほどの石を持ち上げる場合と異なり、シーソーは支点を変えられません。

 

すなわち、本当につり合うようにするには大人が位置を変える必要があります。

 

内側(支点側)に大人が座れば、ぴょんと子ども側が跳ね上がることはありません。

 

 

このように”体重の重い大人が支点との距離を縮めれば”、時計・反時計回りの「回転しようとする力」を同等にできます。

 

つまりこれが「つり合いの力」です。

 

 

「てこ」の原理で計算しよう

 

この章では先ほどの石を持ち上げる例を使い、実際の重さ(力)を計算してみましょう。

 

まず棒の重さを入れない場合から考えます。

 

計算方法:棒の重さを入れない場合

 

 

30㎏ある石を4mの棒で持ち上げます。 支点にするコンクリートから作用点の石まで1m、コンクリートから力点までは3mならどのくらいの力で石を動かせるでしょうか(ちなみに棒の長さは4m)。

 

まず「回転しようとする力」から導きましょう。

 

作用点に働く力は「石の重さ(kg)×支点からの距離(m)」→30×1=30となります。

 

 

「反時計回りの回転しようとする力」が30ですから、力点側の「時計回りの回転しようとする力」が30であればつり合います。

 

「かける力(kg)×支点からの距離(m)」に当てはめるとX×3=30→30÷3で10。

 

つまり3分の1の力で持ち上げられるわけです。

 

 

 

計算方法:棒の重さを入れる場合

 

さて、実際は棒の重さも計算に入れなくてはいけません。

 

この場合やや複雑になります。棒をつり合わせるのを考えれば支点は棒の中心にあります。

 

 

 

先ほどの問題を使ってみましょう。4mの棒の重さを6㎏とします。

 

棒の中心が重力のかかる重心です。そこに6㎏かかるので、考え方や計算は次の図のようになります。

 

 

・作用点にかかる力(反時計回りの回転しようとする力)は30×1=30

 

・力点にかかる力(時計回りの回転しようとする力)はX×3=30

 

※しかし、棒の重心にかかる力は支点より力点側に1mの箇所にある→6×1=6

 

・「時計回りに回転しようとする力」は30だが、棒の重心の6を加える必要がある。

 

・X×3+6=30の式に当てはめるとXは8。答えは8㎏の力をかける、となります。

 

 

 

お気づきの方もいるでしょう。

 

「つり合う力」を求めるには「そこにかかる力」×「支点からの距離」の計算で、

 

それぞれの「回転しようとする力」を求める必要があります。まとめると、

 

・A:「作用点(石)にかかる力」×「支点(コンクリート)からの距離」=「反時計回りの回転しようとする力」

 

・B:「力点(押す力)」×「支点(コンクリート)からの距離」=「時計回りの回転しようとする力」※棒の重心が入る場合は考慮する。

 

・A=Bというつり合いの式を立てる

 

「回転しようとする力」に変換できれば、A=Bの「つり合いの式」で分からない数字を導き出せるのです。

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?今回は「てこ」の原理の意味や考え方・計算方法について解説しました。

 

「てこ」の原理は「小さな力で大きな力を生み出す原理」です。

 

 

そこには「回転しようとする力」が働いています。

 

「そこにかかる力」と「支点からの距離」との掛け合わせで「回転しようとする力」を導き出せたら「つり合いの力」を利用して解答できます。

 

 

ぜひ、まず基礎問題からスタートしましょう。

 

その際「3つの点」「そこにかかる力×支点からの距離=回転しようとする力」「A=Bのつり合いの式」をしっかり確認するのをおすすめします。

 

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