参考書・問題集の活用法 英語 第8回:深めて解ける!英文法INPUT|大学受験エリート

参考書・問題集の活用法 英語 第8回:深めて解ける!英文法INPUT

【問題集・参考書の活用法 英語 第8回 : 「深めて解ける! 英文法INPUT」】

 

このカテゴリーでは、Izu(いず)が様々な参考書・問題集の使い方の例を解説します。

第8回は、Gakkenさんから出ている英文法の参考書「深めて解ける!英文法INPUT」です。

毎度の定型文ですが、解説のスタンスは、この参考書・問題集を使うなら、ということです。

良い・悪いは個人の好みや学習状況で変わってきますので、それには触れません。

既にお持ちの方、これから参考書・問題集を買おうとしている方のお役に立てれば幸いです。

では、本題へ!


英文法をこれから勉強する最初の1冊におススメ(もちろん苦手な方にも適!)


この参考書は、PART1(動詞の語法と文型)~PART15(特殊構文・その他)まで、500ページ近くのボリュームです。

中でもこの本の特長がよく表れているのが、PART3(時制)・PART4(助動詞)・PART5(仮定法)という構成です。

「え?仮定法ってこんなに早く学習するんだっけ??」と不思議に思う方も多いと思います。

確かに仮定法って、学校のカリキュラムなんかでもそうですが、順番的には後半に学習する内容ですよね。

しかしながら、この参考書では、前半のPART5で早くも登場するのです。

その狙いは・・・「はじめに」を読むと、なるほどな~と腑に落ちると思いますよ。


「はじめに」を読み進めますと、そこには、【脱丸暗記!】というワードが何度も出てきます。

著者は、暗記そのものは否定はしておりませんし、最低限の暗記や反復練習はつきものである、と述べています。

その上で、出る順や公式に頼った「丸暗記」を強いられた結果、「英語嫌い」につながると問題提起をしているのです。

英文法の理解を深めることで、長文読解や英作文への取り組みに役立つという筆者の考えには、私も強く共感せずにはいられません。

「理解」をテーマにしているからこそ、時制・助動詞を理解した後、同じ「時制の一種」として理解するために仮定法を続けているのではないかと思います。


本書は随所に「理解を深める」ための工夫がされており、英語に苦手意識を持つ方、これから英文法をイチから学習する方にピッタリです。

せっかくですので、「仮定法」のPARTから1つ、例にとってみましょう。

あなたにとって、絶対ありえないだろうと思うことを思い浮かべてみてください、という質問が唐突にきます。

「今、1億円あったらなぁ。」などの回答例が書かれており、日本語でも「過去」を言い表すような表現なっていますね、と続きます。

英語が苦手な方であっても、「うん、確かにそうだ。」とこの説明は腑に落ちますね。

直後に、仮定法は時制をひとつ切り離すことで現実離れした感じを表現する、という説明が続きます。


そして「仮定法過去」へと話は続くのですが、以下のような場面設定がされています。

現在無職で、貯金ゼロ。未婚の男性のセリフ

If I have → had one million yen , I can → could marry her .

「もしも1億円持っていたら、彼女と結婚できるのに。」


まず、場面設定が面白いですね笑。

無職で貯金ゼロで彼女がいるなんてどんだけ顔面偏差値が高いの!というツッコミたくなるような例文です笑。

それはさておき、なぜ過去形が使われているか、英語が苦手な方でも「そういうことか!」と充分に理解できますね。

この一文を書いた人にとって、「現実」とはかけ離れた話をしているんだ、と分かります。

そうすると・・・過去形(had/could)にすることで、その「現実離れ感」が表現できるんですね!

理解した上で、まとめ【 If+S+過去形,S+助動詞の過去形+V(原形) 】の基本形をINPUTすれば、形の丸暗記からは脱却した学習となりますね。

そして丁寧に、「仮定法過去」という用語だけれども、「過去の内容」を表す訳ではありませんよ、と補足までついています。

仮定法の最初の部分だけを読んでも、理解を深めることを目的として作られているなぁということが分かります。


もう1例として、PART8の「関係詞」もみてみましょう。

普通の参考書であれば、「関係代名詞」と「関係副詞」でカテゴリーが分かれそうなものです。

しかし、この参考書は「関係詞」で1つのカテゴリーとしています。

そして、「完全な文」と「不完全な文」の説明を冒頭部分に持ってきているんですね。

その意図は、おそらくこのような問題を攻略するための考え方の理解だと思います。


<例題(参考書に載っている訳ではありません>

(  )に当てはまる正しい選択肢を選びなさい。

That  is  the  temple (  ) I  have  visited  twice .

① which  ② where  ③ in which  ④ in that


この手の問題、よく見ますね~!

先行詞がtemple!場所を示している!②のwhereが答えでいいんですよね!?

・・・はい、暗記ベースの学習だと、見事に②を選んで間違ってしまう、なんてことになります。

関係詞を入れる問題では、後ろに続く文が「完全or不完全」のどちらかを見抜ける力が必要です。

冒頭部分の説明を理解しておけば、後半の【 I have visited twice 】は「不完全な文」だと分かります。

そして、不完全な文なら関係代名詞、完全な文なら関係副詞、そして先行詞をチェック、という理解ポイントを押さえると・・・

そうですね、この問題の正解は「① which」となりますね。


理解することを第一の目的にするならば、関係代名詞と関係副詞の学習は分離せずに並行して進めた方が、「共通する部分」と「異なる部分」が明確になり、理解も深まる、という意図なんだと思います。

そんな構成にも、この参考書がいかに「理解を深める」ことにフォーカスして作られているかが垣間見えますね。


もう1点、この参考書は、PARTの後半に「混乱しやすいポイント」や「よく質問がある項目」が散りばめられている点も嬉しいポイントです。

仮定法だったら「as if ~ / まるで~のように」の表現、これって仮定法で書かれない場合も普通にあるんですよね。

関係詞だったら「~ man  who  I  thought  was ・・・」のように、主格の関係代名詞の後に主語がきている文もよく目にしますよね。

このような、勉強している方が混乱するポイントも、この参考書では「暗記」ではなく丁寧な説明を通して「理解」を深めようとしてくれています。

まさに、「まずは英文法を理解する」ためのthe参考書、と言えるのではないでしょうか。


「理解が重要なのは分かりましたが、よく問われるポイントはまとまっていてほしい。」そう思う方もいるでしょう。

もちろん、この本は「大学受験突破を目指す方向け」に作られた参考書です。

なんと、別冊「要点ハンドブック」がついており、そこに重要表現等が356項目まとまっているのです!

ひと通り学習した後、このハンドブックを読み、理解の上に知識を積み上げていきましょう!

「脱丸暗記」ですが、暗記は全て不要という訳ではないですからね。


最後に、理想的な使い方を説明しますね。

①まずはPARTごとにじっくり読む

 →理解することが大切ですので、1PARTに数日かけてもよいですからじっくり読み進めましょう

②要点ハンドブックで学習したPARTのエッセンスを確認する

 →ここで、得点を取るために必要な「知識」を覚えましょう(暗記も必要ではありますからね)

③英文法問題集で学習した章の単元を演習する

 →理解したことをすぐに訓練(アウトプット)することが、定着には必要です。

これを繰り返し1冊をマスターする頃には、ご自身の英語の力は格段に向上しているはずですよ!


ちょっと待ってくれと、英文法問題集って何?と思った方もいるかもしれません。

この参考書「英文法INPUT」は英文法の理解を目的となりますので、アウトプット用の問題集を別に用意しておくことをおススメしています。

「英文法OUTPUT」があればいいなぁ・・・あるんです!

入試突破のために必要なポイントを網羅した問題集「深めて解ける!英文法OUTPUT(Gakken)」が別にあるんですね。

「英文法INPUT」で理解を深めた後、一気に入試レベルでの演習に移るのであれば、出てくる順番が一致する「英文法OUTPUT」での学習が最適です。

理解の上に、必要なポイントを乗せるだけ上乗せしていくイメージの学習になりますね。

この問題集は非常に「やりがいがある」ため、また別の機会にご紹介しようと思いますが、INPUTに比べ難度がグッと高まる印象です。


ですので、この参考書を「英語の苦手脱却」で使われる場合は、「英文法OUTPUT」と並行するとハードルが高く感じてしまう可能性が高いので、基本反復演習に特化した問題集から始めた方が無難です。

そうですね、一例ですが、市販教材なら【よくわかる 高校英文法問題集(Gakken)】、塾用教材なら【高校リード問題集 英文法A】、といったところでしょうか。

他にもいろいろな問題集がありますが、英文法がテーマ別になっている問題集で、基本レベルをしっかり練習できるものを選びましょう。

自信がついてきたら、満を持して「英文法OUTPUT」に移ればよいと思いますよ!


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

数ある英文法参考書の中でも異彩を放つ「英文法INPUT」、まずは英語そのものの理解を深めて受験への足掛かりとしたい方におススメです。

また、「英語が苦手でして・・・」という方。

私は校舎でそのような相談を受けた場合に提案する参考書が、以前紹介した「やさしい高校英語」と、この「英文法INPUT」です。

ここから先は好みの問題でもありますが、基本事項のマスターにより特化したい方は前者、入試英語への足掛かりまでを見据える方は後者がよいのかな、とも思います。


これから英語の土台を築いていく方、【英単語・熟語+基礎英文法理解+演習】をまずは徹底してくださいね。

ちなみに私は、この手の指導(基本英文法の導入+演習)をこれまで最も担当してきました!

独学ではなかなか進まないなぁ・・・と感じる方は、ぜひ一度ご相談・体験受講にいらしてください。

文系・理系問わず必要となる英語、土台作りは、早いに越したことはありませんからね。


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