中学受験を目指す人がいる一方で、「中学受験に意味はない」という人も存在します。
実際のところ、中学受験には意味がないのでしょうか。
ここでは、中学受験に意味はないと感じる理由や中学受験のメリット、中学受験を意味のあるものにするためのポイントなどを詳しくご紹介します。
中学受験に意味はないと感じる理由
中学受験に意味はないと感じる主な理由として、次のようなものが挙げられます。
・小学校の「お受験」と混同している
・中学受験をさせるのは親のエゴだと思っている
・のびのびとした育児を妨げると思っている
中学受験を「詰め込み教育」だと勘違いしている
中学受験を、受験に必要な知識を頭に詰め込むだけの「詰め込み教育」だと勘違いしている人は少なくありません。
たしかに、中学受験では小学校のレベルを超えた内容を学ぶ必要があるため、勉強量は必然的に多くなります。
しかし、詰め込んで覚えるだけの学習では、中学受験に太刀打ちすることはできません。
思考力や理解力を身につけることこそが、中学受験の本当の目的と言えるのです。
小学校の「お受験」と混同している
小学校の「お受験」は、子供自身だけでなく、親も評価の対象となる試験です。
お受験では、志望動機や行動観察を通して、子供自身の素養だけでなく、親が子供にどのように関わっているかが評価されます。
一方、中学受験は純粋に子供の学力が合否を左右します。
いくら親が教育に熱心でも、子供の学力が伴っていなければ志望校に合格することはできません。
そうした点で「お受験」と「中学受験」はまったく意味が異なるのです。
中学受験をさせるのは親のエゴだと思っている
「幼い子供に中学受験をさせるのは親のエゴだ」というのも、中学受験を「意味のないもの」と考える人たちからよく聞かれる声です。
中学受験をするためには、一般の小学生よりも遥かに長い時間を勉強に費やす必要があります。
また、小さな頃から熾烈な競争にさらされるのは可哀想だという意見もあるでしょう。
ですが、中学受験によって得た学力や集中力、競争力などは、これから先の人生においてプラスにもなります。
子供自身が中学受験を嫌がっている場合は別として、親子で前向きにチャレンジできるのであれば、中学受験は必ずしも親のエゴではないと言えるでしょう。
のびのびとした育児を妨げると思っている
中学受験に否定的な意見を持つ人の中には、「子供に中学受験をさせることはのびのびとした育児の妨げになる」と思っているケースもしばしば見受けられます。
しかし、その中には「のびのびした育児」と「放置」を混同している人も少なからず存在します。
子供をのびのびと育てたいからといって最低限の自宅学習も放置した結果、中学の授業についていけなかったり、試験の点数が悪かったり、いわゆる「落ちこぼれ」になってしまう場合もあります。
中学受験で得られるメリット
中学受験には、以下のようなメリットがあります。
・子供の能力が大きく伸びる
・高校・大学受験が楽になる
精神力や自己肯定感が身につく
周りの子供たちが遊んでいるときに、塾に行ったり自宅学習をしたり、受験勉強に時間を費やすのは簡単なことではありません。
ですが、遊びたい気持ちをぐっと堪えて、目標を達成するために勉強に取り組んだ経験は、精神力や自己肯定感を育てることに繋がります。
大変な受験勉強を乗り越えたからこそ、合格を果たしたあかつきには大きな達成感が得られます。
万が一合格できなかったとしても、中学受験に真剣に取り組んだという経験は子供自身を成長させてくれるでしょう。
子供の能力が大きく伸びる
中学受験の志望校となるような中高一貫の私立中学では、独自の教育理念による「個」の特性を伸ばす授業が行われています。
それぞれの個性を生かしやすいカリキュラムが組まれているので、子供の能力が大きく伸びる可能性があります。
一方、公立中学は良くも悪くも一律的な授業内容のため、突出して勉強や運動が出来る子以外のいわゆる「普通の子」は、能力を伸ばしきれずに集団の中に埋もれてしまいがちです。
高校・大学受験が楽になる
中高一貫校では中学から高校へエスカレーター式に進学できるため、高校受験の準備が楽になるというメリットもあります。
そのため、部活や習い事など勉強以外のことに取り組む時間も作りやすいと言えます。
また、付属の大学がある場合は大学受験においても有利です。
外部大学を受験するケースでも、高校受験がないというメリットを活かして、早い段階から大学受験に向けた準備をスタートさせることができます。
中学受験の意味がなくなるケースとは?
中学受験にはたくさんのメリットが存在しますが、次のようなケースではデメリットになることもあります。
・親の言いなりで受験する
・エスカレーター式に依存しすぎる
親の言いなりで受験する
子供自身の意思ではなく親の言いなりで受験をした場合、受験勉強を乗り切れずに挫折してしまったり、中学に入学後に目標が見つけられず不登校になってしまったりするケースもあります。
そうなると、せっかく中学受験をしても意味がないどころか、マイナスの結果をもたらしてしまいます。
エスカレーター式に依存しすぎる
中学受験を目指す人の中には、「中高一貫校に入学さえすれば後はエスカレーター式に進学できるから安心だ」と考える人もいます。
たしかにエスカレーター式の進学は中高一貫校のメリットですが、そのシステムに依存しすぎて入学後の勉強を怠ると、授業についていけなくなったり、内部進学が難しくなったりするケースもあります。
中学受験を意味のあるものにするためのポイント
中学受験を意味のあるものにするためのポイントとして、以下のようなものが挙げられます。
・家族で話し合いの機会を持つ
・目標を明確にする
・「偏差値」を正しく理解する
家族で話し合いの機会を持つ
前述のように、親が一方的に勉強を押し付けるだけでは、中学受験は上手く行きません。
前向きに受験を乗り切り、入学後も目標を持って学校生活を送るためには、中学受験に対して家族で話し合いの機会を持つことが大切です。
中学受験の時期は子供の反抗期とも重なり、ただでさえ親子のコミュニケーションが難しくなりがちです。
だからこそ、しっかりと話し合いを行って意思疎通をすることが重要と言えるでしょう。
目標を明確にする
「なぜ中学受験をするのか」という目標を明確にすることも、中学受験を意味のあるものにする上ではとても大切なポイントです。
その中学に行きたい理由や、入学後にどんなことをしたいのか(学びたいのか)がはっきりしていれば、受験勉強にも張り合いを持って取り組むことができます。
志望校を選ぶ上でも、本人の目標が明確であればあるほど、その子に合った学校を絞り込むことが可能となります。
「偏差値」を正しく理解する
学力をはかる上で重要な指標となる「偏差値」ですが、高校受験や大学受験のそれと、中学受験における偏差値とでは、意味合いが少し異なります。
偏差値の数字は、模試を受けた人全体の中の位置を示しています。
中学受験の場合、そもそも一般よりも学力が高めな子供たちが母集団となるため、高校受験や大学受験に比べると偏差値は低めに出る傾向があります。
たとえば、中学受験をする子が主に受ける模試での「偏差値50」は、公立中学に進む子も一緒に受ける模試での「偏差値60」に相当するという考え方も成り立ちます。
中学受験においては、このことを正しく理解しておく必要があると言えるでしょう。
まとめ
子供の能力を大きく伸ばすチャンスとなる中学受験ですが、取り組み方によっては意味がなくなってしまうケースもあります。
せっかくの中学受験をプラスの経験にするためにも、上記にご紹介した内容を参考にしてみていただければと思います。