【問題集・参考書の活用法 英語 第11回 : 「英作文ナビ」】
このカテゴリーでは、Izu(いず)が様々な参考書・問題集の使い方の例を解説します。
第11回は、日栄社さんから出ている英作文用の参考書・問題集「英作文ナビ」です。
毎度の定型文ですが、解説のスタンスは、この参考書・問題集を使うなら、ということです。
良い・悪いは個人の好みや学習状況で変わってきますので、それには触れません。
既にお持ちの方、これから参考書・問題集を買おうとしている方のお役に立てれば幸いです。
では、本題へ!
<英作文の実力強化のための、最初の1冊に適>
以前の記事(第6回)で、ナビシリーズの「英文解釈ナビ」をご紹介しました。
日栄社さんと言えば、「30日完成シリーズ」をまずは思い浮かべる方が多いですかね。
昔からある薄めの使いやすい問題集で、いつの時代の受験生にとっても始めやすいものでした。
その日栄社さんから発売されている「ナビシリーズ」、今回は「英作文ナビ」をご紹介します。
大学入試英語の中で、最もハードルが高いカテゴリーが【英作文】だと思います。
減点されない英作文を書くためには、いろいろな力が必要となるからです。
例えば、
・ 国語(日本語)力
え?国語??
与えられた日本語訳を英文に変換するのが英作文ですが(当たり前のことを言ってすみません)、その「与えられた日本語」が、なかなかストレートに英語にしづらいことが多いからです。
他にも、
・ 単語とイディオムの知識
これは当然と言えば当然で、知識量が不足していると、文句のつけようのない英作文はなかなかできません。
さらには、
・ 文法と構文力
与えられた日本語訳から「これを使ってみよう!」と方針が立つよう、動詞の語法・正しい文法・使える構文は持っているに越したことはありません。
要は、全ての力を集結させて作り上げる一文、それが英作文の醍醐味と言えるのです。
ですので、英作文を添削すると、その人の「英語力」は割と簡単に見抜けちゃうものなんです。
「うわ~英作文って大変そう!ムリ!」なんて投げ出さないでくださいね。
まず、ご自身が志望する大学・学部の出題に、英作文が含まれるかを確認しましょう。
これまで出題された年がないのであれば、英作文練習の優先度は下がります。
逆に、国公立大の二次試験など、英作文がしっかり出されている場合、時間をかけて対策をする必要があります。
ですが、英作文の対策に至るまでには、いくつかの過程を経る必要があります。
英作文の対策に移るまでの「正しい学習ルート」は、以下のようなイメージを持ってください。
【英単語・イディオムの暗記と英文法理解→英文法標準演習→応用演習(整序問題と英文解釈をやっておきたい)→英作文練習/長文読解】
つまり、長文読解中心の学習に移れる状態を作ることが、英作文の練習にも同様に求められるのです。
特に、整序問題は、文の作りを意識する良い訓練となりますので、英作文に入る直前に必ず取り入れてください。
ですので、英作文の学習は「高3の中盤~」くらいが標準的な時期におそらくなりますね。
これまで培ってきた英語力の「集大成」として、じっくり取り組み力をつけたいところです。
すみません、「英作文ナビ」を紹介するはずが、前置きが長くなってしまいました。
英作文系書籍の紹介が今回初めてだったため、まずは必要条件についてお話しした次第です。
では、「英作文ナビ」のどこが使いやすいのか、具体的に紹介してまいります!
ひと言で表すと、PART1~3で段階を踏める、という点ですね。
各PARTの概要をみてみましょう。
【PART1:文法項目別暗唱例文 (150題)】
こちらは、ページの左側に英文が、右側に対応訳と文法ポイントが載っています。
左側の英文は、かなり平易な一文なんですね。
1つ例に出してみましょう。
(英文): Kyoto is the place where the ancient capital of Japan was located .
(日本語訳): 京都は昔の日本の首都が置かれていた所だ。
(ポイント): whereの確認/be located in~の意味 ※項目のみ記載しました
この英文を訳しなさいと言われれば、そんなに難しくは感じないと思います。
ですが、英文がない状態で、日本語のこの一文を英語で書きなさいとなると、意外と難しいと思いませんか?
「置かれていた」をどう表そう?古代のって形容詞は何だっけ?
この程度の一文でも、減点されない英文を作るのはそう簡単ではないんですね。
PART1は、【一文を読む→日本語訳確認→ポイント把握→英文を隠して実際に自分で書いてみる→答え合わせ】、こんな学習をするとよいですね。
【PART2:文法項目別基本問題 (150題)】
こちらは、ページの左側に日本語・(語句)・考え方・解答欄があり、右側に解答例が3つ載っています。
このPARTもまた、日本語を見るとそんなに込み入った英文で書く必要がなさそうなことは想像がつきます。
1つ例に出してみましょう。
(日本語訳): 来月までには彼は旅行のために十分なお金を貯めていることだろう。
(考え方): 「来月までに」は~を用いる・・・ / 「お金を貯めている」は未来のある地点・・・
長くなるので考え方は省略しましたが、一文を作る上での手がかりになります。
(考え方)を参考に、自分なりの一文を作ったら、解答例を見ましょう。
解答例が3つもありますので、「へぇ~この日本語はSVを使わなくてもこう表現できるんだ!」みたいな発見も、良い勉強になります。
ここでは解答例は載せませんが、(考え方)に忠実に作れば、作ったご自身の一文は解答例のどれかに近いものになっているはずです。
PART2は、【日本語訳と考え方を読む→考え方に忠実に作文する→答え合わせ→減点ポイントの確認→語句・考え方を見ずに書いて復習】、こんな学習をするとよいですね。
【PART3:トピック別発展問題 (90題)】
PART1・2は文法項目別でしたが、PART3ではテーマが「トピック別」となります。
ジャンルって??と思ったかもしれません。
旅行・趣味/自然・環境/・・・/言語、といった、全9トピックで構成されています。
1ページに日本語訳・語句・考え方・解答例3文、が集約されているのですが、ここで難度がグッと高まります。
1つ例に出してみましょう。
(日本語訳): 世界中の多くの人々にとっては、私たちが権利だと感じるようになっていることも、貧困や政治のせいでほとんど不可能なままなのだ。
かなりの難しさだ、ということを実感できますね。
日本語訳の下に語句・考え方、と続きますので、ここを参考に自分なりの解答を作ります。
そのすぐ下に解答例が3文ありますが、そこは解答作成段階では見ないようにし、自分なりの一文を作った後で、照らし合わせに使いましょう。
解答例は割愛しますが、「~のせいで」の表現の仕方や、「~のままなのだ」と訳せる他の表現など、英作文の幅を広げてくれる例が3つ載っています。
別の表現方法も学ぶことで、日本語の直訳にとらわれすぎない応用力がつくのです!
PART3も、手がかり(語句・考え方)を見ずに書いて復習しましょう。
PART3の後ろに、APPENDIXとして、長文和文英訳や自由英作文の問題もついています。
ここまで対策が必要となる方は限られますが、「英作文ナビ」という本なだけあって、こういった問題まで載せている点も良いですね。
以上が「英作文ナビ」の学習段階です。
英作文も、このように段階を踏んでレベルアップしていけば、学習はスムーズに進みます。
もちろん、1問に対して結構な時間を使うことになると思いますので、数か月に渡った学習計画を立てるようにしましょう!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「英作文ナビ」という名の通り、減点されない一文を作るために語句や考え方を「ナビ」してくれますので、限られた時間の中でも進めやすい問題集だと思います。
ただ、上でも書きましたが、英作文はこれまでの英語学習の集大成、とも言えます。
英作文学習ステージに至るまでの過程をおろそかにしないよう、時間をかけて土台を築き上げていってください。
大学受験エリートでは、学習計画立て→チェック&修正の「学習マネジメント」に力を入れています。
志望大学と学部、入試までに残された時間、現在の学力などを総合的に判断し、合格可能性を最も高める「キミだけの学習計画」をご提案いたします。
それではまた次回。
See you !