こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、ポイント、注意点などを単元別に紹介する、
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅰ 集合と論理 その1 集合
です。
集合についての学習は数Aにもあります。
数Aで書いた記事もぜひ参考にして下さい。
数Aの方では、
『数え上げに応用するための、要素の数え上げ』
をメインとして紹介しました。
数Ⅰでは、「論理」との関連に注目して、
集合の学習内容を紹介します。
ポイント① 『集める範囲が明確なもの』が数学の集合
なんらかの数学的対象を集めたものを、集合と言います。
論理と絡めて意識するならば、
『集めたものが、誰の目から見ても明確なもの』
が数学で言う集合です。
例えば、
A={頭のいい人全体}
のようなものは、数学では集合とは見なしません。
「頭のいい人」の基準が大変不明確で、個々人の主観によって
Aに入る人、入らない人
の判断がブレるからです。
この考え方は、集合だけに限りません。
数学で扱う主張というのは、
誰の目から見ても、一律に正しい・正しくないの判断ができるもの
である必要があります。
例えば、
100は大きい数か
のような問いかけや主張は、数学ではしません。
大きい数かどうかは、個々人の主観に依存するからです。
数学の世界では、
100は1000より大きい数か
100よりも大きい数は存在するか
のように、「誰も目からみても正しい・誤りがハッキリする」形で
主張をします。
(知ってる人向けの補足 実は、集合は『なんでもかんでも集めていい』わけではないです。
A={集合X|X∉A}のようなものを考えるとマズイことがおきます。)
ポイント② 集合の表し方は、『集めるもの』を明確にするためにある
集合の表し方を色々と学習すると思います。
A={1,2,3,……}
A={n|nは自然数}
のような表示です。
これらの表示は、
『集めるもの』
をハッキリ、誤解なく表すためにあります。
逆に、自分で何か集合を表すときは、
『集めるもの』が明確になるよう、
学習した表記を使って表現することが大切です。
集合の勉強でまず習得したいのは、
集合の表し方の意味を理解する
集合の表し方を使って、自分の表現したい集合を明確に人に伝えられる
の2点です。
ポイント③ 数学の論理=集合の大小関係
かなり大げさな言い方になりますが、
数学の論理は、集合の大小関係だと思いましょう。
例えば、
A={1,2,3}
B={1,2,3,4,5}
のとき、Aの中身はすべてBの中身です。
集合Bは集合Aよりも大きい
ようなイメージです。
こういう状況を、
A⊂B
と表現します。
そして、かなりいい加減な(ウソ)表現なのですが、
集合Aよりも集合Bの方が大きいとき、
『A ならば B』 が正しい
とイメージしておきましょう。
現在はなんのことだが不明だと思いますが、
『〇 ならば ◇』とは、『集合〇 よりも 集合◇ が大きい』こと
という呪文を、今のうちに刷り込んでおきます。
大切なことは、
集合の大小関係は、後の論理と密接にかかわる
と意識することです。
ポイント④ 集合の大小関係には、「大きくも、小さくもない」ものがあるので注意!
集合の大小関係の話をしました。
(精密には、「大小関係」ではなく「包含関係」として習うハズです。)
後の論理とも密接にかかわる集合の大小関係ですが、
1つ注意点があります。
2つの集合には、「大きくも、小さくもない」関係のものがあります。
例えば、
A={1,3}
B={2,4}
という2つの集合には、どちらが大きいとか、どちらが小さいとか、
そういう関係はありません。
C={1,2,3}
を考えると、CはAよりも大きいです。
ですが、CとBには大小関係はありません。
このように、
「そもそも、大きい・小さいが比較できない」
集合もあることには注意しましょう。
ポイント⑤ 『関数のグラフ』や『方程式の解』も集合だ!
ここからは上級者向けの話になります。
ですが、集合の学習で一番重要な部分です。
今まで勉強した色々な対象を、集合としてとらえる
ことが大切です。
例えば、関数のグラフ。
『関数y=xのグラフ』とは何か?
と言われて、パッと答えられますか。
難しい問いかけなのは分かっていますので、答えをいいます。
『y=xを満たす点(x,y)の集まり』
が関数y=xのグラフです。
そう、『点の集まり』がグラフなんですよね。
どういう点を集めるのか? を決めるのが、関数です。
グラフとは、まさにここで勉強する集合そのものです。
『y=x』という条件で
『点(x,y)』を集める
とすればいいので、
{点(x,y)|y=x}
が、関数y=xのグラフです。
関数のグラフを集合としてとらえると、
色々なものがスッキリ議論できるようになります。
例えば、
『関数y=xのグラフと、関数y=-xのグラフの交点』
について考えてみます。
関数y=xのグラフは {点(x,y)|y=x}
関数y=-xのグラフは {点(x,y)|y=-x}
となります。
この2つのグラフの交点は、集合の言葉で言うと「共通部分」になりますから、
{点(x,y)|y=x}∩{点(x,y)|y=-x}
がグラフの交点のことです。
条件をまとめて、
{点(x,y)|y=x}∩{点(x,y)|y=-x}={点(x,y)|y=x かつ y=-x}
とできます。
ところで……
{点(x,y)|y=x かつ y=-x}
ですが、この集合は
連立方程式y=x,y=-x
の解(を集合で表したもの)ですから、
グラフの交点を求めるときは、連立方程式を解けばいいと分かりますね。
今の例は、中学2年生でも知っている内容を小難しく説明しただけです。
ですが、これからの高校数学、大学受験の数学では、
もっと複雑な処理が必要になる場面があります。
そのときに、グラフや方程式の解などを、
集合の言葉で理解できていることが大切になります。
集合の言葉を使って整理しないと、
自分が何を計算しているのか、どんどん分からなくなってしまうのです。
ハイレベルを目指している人は、可能な限り、
自分が扱ってきた数学的対象を集合で表す
ことも意識して、集合を学習しましょう。
後々、実戦的に重要になってくるのはこの能力です。