こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強のポイント、見どころなどを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 2次関数 その9 解の配置問題
です。
→前回
いよいよ、2次関数の最終回です。
グラフかきから始まり、色々な角度で2次関数を扱ってきました。
場合分けが絡んだ最大・最小問題など、難しい問題もここまで出会いましたね。
今回は、「解の配置問題」へアタックしていきましょう。
『2次方程式〇〇が、異なる2つの正の解をもつ条件を求めよ』
という風に、「解が××にある条件を求める」というのが解の配置問題です。
解の配置問題は、2次関数の最後に立ちはだかるラスボスです。
定期テストの応用問題で出される可能性がありますし、大学受験の実戦的にも重要な問題です。
新しい視点の問題のため、最初は対応に苦慮すると思います。
じっくりと腰を据えて練習しましょう。
ポイント① 解の公式は使いものにならないので注意!
『2次方程式〇〇が、異なる2つの正の解をもつ条件を求めよ』
と言われたときに、パッと浮かぶのは
「解の公式で解を求めて、小さいほうの解>0」
とする対応かもしれません。
あとは、不等式を一生懸命に解けばいいのですが……
こういう場面で、解の公式の弱みが見えてきます。
式が複雑で、根号「√」が入っていることが、解の公式の弱点です。
とくに根号を不等式の中で処理するのが非常に厄介で、直感的な操作ができません。
解の公式が絡んだ不等式を解くには、相当な論理的腕力が必要になります。
「解の公式で解を求めて、小さいほうの解>0」
のように立式した不等式は、「普通には解けない」と思ってOKです。
(トップレベルを目指す人は、解の配置問題を解の公式から解く練習をするのもアリです。
論理的な腕力を鍛えるのにいい練習になります。)
解の配置問題では、
解の公式を使おうとしたら負け
と言ってもいいです。
では、どうしましょうか……
ポイント② 解の配置問題は、グラフのようすから攻める
解の配置問題に対して、解の公式から攻めるのは筋が悪いです。
そこで、
解の配置問題は、グラフのようすから攻める
というのが基本手筋になります。
「方程式f(x)=0 の解」
を、
「y=f(x)のグラフとx軸の交点」
として捉えて、グラフのようすから攻めていきます。
実際にやってみると分かるのですが、この作戦だと解の公式は使いません。
むしろ、
「方程式の解について、具体的には分からない」
状態で問題を処理していきます。
地味ながら、ここが面白い鑑賞ポイントです。
「解の条件について聞かれている問題」を、
「具体的な解の値は分からないまま処理する」
という動きをします。
難しい問題になればなるほど、問題にされている条件を素直に処理することが難しいです。
「解」について聞かれているのに、「解」を求めて処理すると負け
といった状況が、応用問題であるほど出てきます。
この辺りの間合いといいますか、実戦的な「数学の心」が現れているのが「解の配置問題」です。
「グラフをかいて処理する」とだけ覚えてしまうのはもったいない。
こういう不思議なところに注目して、その心に触れるのが今後の学習でも役に立ちます。
ポイント③ 解の配置問題で注目するのは3つ!
さて、グラフで対応するという方針は立ちました。
方針がたった後の具体的な処理方法も紹介します。
解の配置問題では、次の3点に注目して、立式・処理をします。
㋐放物線の軸
㋑頂点のy座標(判別式D)
㋒区間の端点での値
色々な問題のパターンがありますが、上記の㋐~㋒に注目して考えることは共通しています。
問題演習の中で、㋐~㋒がどう処理されているかを意識して、
勉強していきましょう。
㋐、㋑の情報は、2次関数を「平方完成」することで分かりますね。
そのため、解の配置問題では平方完成から攻めることが多いです。
㋑の「頂点のy座標」の位置を調べることは、判別式Dを調べることと同じです。
どちらか片方だけ調べれば十分なので、頂点の座標か判別式か、お好みの方を調べましょう。
㋒については、例えば
「f(x)=0が、正の解を2つもつ」
場合、解を入れたい区間は「x>0」になります。
そのため、区間の端点は「x=0」となり、
区間の端点の値である「f(0)」に注目して処理します。
模範解答を見るときには、
㋐放物線の軸
㋑頂点のy座標(判別式D)
㋒区間の端点での値
に注目して、問題への対応方法を確認しましょう。
ポイント④ 「十分性」「必要性」を意識しよう
これは、少し難しい話になります。
グラフのようすを考え、
㋐放物線の軸
㋑頂点のy座標(判別式D)
㋒区間の端点での値
に注目して立式したとします。
このときに出てきた条件は、
「十分条件」になっているか?
を意識できると最高です。
つまり、
問題の条件を満たすのは、「〇〇」と立式できた
だけだと、「必要条件」しか満たしていないことがあります。
この逆の、
「〇〇」と立式できれば、問題の条件を満たす
という方向を確認し、「十分条件」になっていることを確認できると完璧です。
一朝一夕では身に付きませんが、今のうちから意識して練習できると、
後々実力がグンとついてきます。
特に、問題によっては
㋐放物線の軸
㋑頂点のy座標(判別式D)
㋒区間の端点での値
のうち、特定の条件しか立式しない問題もあります。
例えば、㋐と㋒だけで「十分条件」になっているので、
㋑は不要……というような感じです。
このように、「必要条件」「十分条件」に注目できれば、
スマートな問題処理に繋がります。
ただ、最初は本当に難しいので、
『㋐~㋒を、とりあえずすべて調べる』
と思うのがオススメです。
解答を見て、不要な条件があったら十分性に注意して考察する……
そういう地道な努力の先に、スマートな解答があると思った方がいいです。
いきなり、完全に無駄のないスマートな解法ができるようになろうとするのは、
色々な意味で危険です。
2次関数の最終回、ラスボスの解の配置問題でした。
実際に自分の手で解こうとすると、中々うまく行きません。
計算、グラフの知識、論理的思考力が総合的に要求される問題だからです。
その分、演習を通じて学べることは非常に多いです。
じっくりと腰を据えて、勉強していきましょう。