こんにちは、大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強のポイント、見どころなどを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 三角比 その4 正弦定理、余弦定理
です。
しつこいですが、三角比の計算練習は順調でしょうか。
有名角の三角比を暗記したりしていませんよね?
ちゃんと、毎回定義に戻って思い出して下さいね。
分数の通分・約分をサクサクできる勢いで、
三角比の計算がサクサクできるようになっていないと、今後が苦しいです。
まだ身についていない人は、何度も戻って計算練習を積み重ねましょう。
さて、いよいよ正弦定理と余弦定理の登場です。
三角比の勉強は、この2つ定理を学ぶためにしてきたと言っていいです。
正弦定理と余弦定理は、平面図形の問題を処理するときの強力な道具になります。
『平面図形の問題なんか嫌いだよ、アレコレ補助線引くのなんか思い浮かばないし……』
なんて悩んでいる人にこそ、この2大定理を習得して欲しい。
2大定理をちゃんと使いこなせば、補助線なんてほとんど引かずに、
『適当にガチャガチャ計算すれば図形の問題が解ける』
ようになっていきます。
正弦定理と余弦定理ですが、大体の問題は余弦定理が解決してくれます。
余弦定理では手が届かない部分を、そっと正弦定理が補ってくれる印象です。
非常にいいコンビだと思います。
この記事では、△ABCに対して、角A、B、Cの向かい合う辺の長さをそれぞれa,b,cで表すことにします。
ポイント① 正弦定理
△ABCに対して、
a/sinA=b/sinB=c/sinC (=2R)
が成り立ちます。これが正弦定理です。
(Rは△ABCの外接円の半径)
使いどころはのちほど説明しますが、非常にまとまった式になっています。
(個人的な意見ですが、高校数学で習う公式の中で美しさNo.1だと思っています。)
「比」の感覚があるかどうかで、正弦定理の式の見え方が変わってきます。
大雑把に言うと、
「分数」=「比」
です。具体的には、
x/y=z/wのとき、x:z=y:wが成り立ちます。
分数が等しいかどうかは、比が等しいかどうかと同じことです。
この視点で正弦定理を眺めると、
a:b:c=sinA:sinB:sinC
という意味になります。
三角形の3辺の長さの比は、向かい合う角のsinの比と等しい
という意味で、三角形の辺と角度の関係を非常に端的に表現しています。
さらに別の見方もできて、
a:sinA=b:sinB=c:sinC
という見方もできます。
三角形の辺と向かう角のsinの比は、常に一定
ということを主張し、さらにオマケで
その比の値は、外接円の直径(半径の2倍)
ということも得られます。
三角形とは何か?
の情報が色々と詰まった、非常に面白い式です。
暗記すべき式ですが、上記のような数式の意味が分かると、
自然と頭に入りやすくなります。
余裕のある人は、証明も勉強しておきましょう。
補助線一発で華麗に落とすので、見ていて気持ちがいい証明です。
また、
「3つのものが一致する」
というややこしい命題をどう証明するのか?
も参考になると思います。
ポイント② 余弦定理
△ABCに対して、
c2=a2+b2-2abcosC
が成り立ちます。これを余弦定理といいます。
初見時はビビりますが、慣れしたんだある公式の拡張になっています。
C=90°、つまり直角三角形のときを考えましょう。
cos90°=0に注意すると、
c2=a2+b2
となります。
これは三平方の定理そのものです。
三平方の定理は直角三角形限定の定理でしたが、
余弦定理はどんな三角形にも使えます。
余弦定理は、由緒正しい三平方定理の正統後継者のようなイメージです。
余弦定理については、きちんと暗記しましょう。
最初は中々覚えにくいかもしれません。
覚えるコツは……
三平方の定理だと思って、
c2=a2+b2
まで書いたあと、
補正として -2abcosC を加える
というイメージで覚えています。
ここまで、図形の問題では三平方定理を多用してきたと思います。
同じように、正統後継者である余弦定理も多用されます。
しっかり暗記しておかないとマズイ公式なので、注意しましょう。
余裕のある人は証明も見ておきましょう。
本質的には、三平方の定理でゴリゴリ計算するだけです。
途中、
『斜辺の長さがrの直角三角形の、底辺がrcosθ、高さがrsinθ』
という感覚を使います。
この使い方や、ゴリゴリの計算過程が鑑賞ポイントです。
ここからは余談です。
数学の理論とは恐ろしいもので、「ベクトル」の世界に行くと
展開公式 (a-b)2=a2-2ab+b2
さえ知っていれば、余弦定理が自動で使える
ようになります。
このような世界を理解すると、上記の展開公式から一瞬で余弦定理が思い出せたりします。
凄まじいですね。
ポイント③ 正弦定理、余弦定理の使いどころの判断基準
学習をしていくと、
正弦定理と余弦定理、どっちを使ったらいいの?
と迷うと思います。
理想は、問題演習を通じて、どちらの公式を使うのか判断する練習をすることですが……
ポイントを紹介しておきましょう。
まず、どっちか迷ったら
とりあえず余弦定理
から疑いましょう。
大げさに言うと、9割がた余弦定理が解決してくれます。
余弦定理がダメなら正弦定理を使うかー、ぐらいの気持ちでも最初はいいと思います。
とはいえ、しっかりした理屈も知っておきましょうか。
三角形の合同条件と照らして理解するのが、1つのやり方です。
㋐3辺の長さが分かっている →余弦定理
㋑2辺とその間の角が分かっている →余弦定理
㋒1辺とその両端の各が分かっている →正弦定理
という分類が定番です。
定理を使いたい三角形を眺めて、
辺や角度の、どの情報が分かっているのか?
を整理して、正弦定理か余弦定理のどちらを使うか判断しましょう。
また、「外接円の半径」が絡んだ場合は正弦定理を使います。
ポイント④ 正弦定理、余弦定理で計算するときのコツ 変形してから代入!
さて、ここからは少し実戦的なコツを紹介します。
余弦定理
c2=a2+b2-2abcosC
ですが、
『a,b,cが分かっていて、そこからCを求めたい』
という状況で使うことも多いです。
そういうときは、
cosC=(a2+b2-c2)/2ab
と変形してから計算するのがコツです。
正弦定理や余弦定理に限らず、
代入してから、変形して計算
よりも、
変形して式を整理してから、代入
する方がスムーズなことが多いです。
(中学生のときに、似たようなことを習ったかもしれません)
代入してから計算することが間違いではないのですが、
計算を早く正確に行うための細かい技術として、変形→代入が基本です。
小さな差ですが、こういう細かい技術の積み重ねが大きな差になっていきます。
普段の演習から気を付けて、正しい型をクセにしていきましょう。
ポイント①~④を振り返りましょう。
正弦定理、余弦定理をきちんと覚えて……
使い分けの基準を意識して……
「変形→代入」の順番を守って……
ということでした。
ここが意識できれば、あとはガンガン練習するだけです。
実際の演習を通じて、
三角形に対して正弦定理・余弦定理を使う感覚を習得していきましょう。