こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強のポイント、見どころなどを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 三角比 その5 三角比の利用
です。
→前回
三角比の最終回です。
前回は「正弦定理、余弦定理」まで辿り着きました。
正弦定理、余弦定理の導入によって、今まで
意味も分からず計算
していた三角比に、少し意味が出てきました。
どうやら、三角比は三角形の計量に使えるらしい。
ここから先は、この三角形の計量を使って、
色々な図形の問題を解決していくパートになります。
定番の方針、処理法、よく使う知識などをまとめておきましょう。
最後には、
結局、sin,cosって何だったのか?
を振り返ろうと思います。
ポイント① 三角形を探せ!
sin,cosという新しい道具が手に入りましたが、
結局使う武器は
正弦定理、余弦定理
の2つだけです。
どちらの定理も、
三角形に対して適用する定理
なので、三角形がないと武器が使えません。
そのため、平面図形の問題への対応は
どの三角形に、正弦定理・余弦定理を使うか
を探すことになります。
地味ながら、この三角形探しを意識しながら取り組みましょう。
ポイント② 1つの量を複数の方法で表そう!
実戦的な問題で定番となる処理が、
1つの量を複数の方法で表して、方程式をたてる
という作戦です。
求めたいものを適当な文字でおいて、
2つの三角形の共通の辺を、2通りの余弦定理で表して……
という動きをよく使います。
図形の問題へアタックするときに、常に意識したい作戦です。
ポイント③ 円に内接する四角形は、対角の和が180°を使う
円に内接する四角形が絡む問題も頻出です。
このときは、
対角の和が180°
を使って攻めるのが基本です。
1つの角をθとおくと、その対角は180°-θです。
そこで、
sin(180°-θ)=sinθ
cos(180°-θ)=-cosθ
の関係式もよく使います。
ポイント④ 三角形の面積は、(底辺)×(高さ)÷2
正弦定理、余弦定理ではカバーできない三角形の計量がありました。
三角形の面積は別ルートから攻める必要があります。
S=absinC/2
といった式が出てくると思いますが、結局は
(底辺)×(高さ)÷2
と同じことだと意識しましょう。
三角比の意味が分かっていれば、
aが底辺、bsinCが高さと分かります。
(bが底辺、asinCが高さとも見れます)
考えればすぐに分かる式なので、思い出せるように訓練するのも1つです。
ただ、単発の面積公式なので、このぐらいなら意味も分からず暗記するのもアリです。
いずれにせよ大切なのでは、
2辺と、その間の角(の三角比)が分かっている→面積が分かる
と認識できて、計算が実行できることです。
ポイント⑤ 空間図形は「平面を考えて」戦う
空間図形も出てくると思います。
対空間図形で大切なのは、
いかに空間図形を相手にしないか
です。
変なことを書いているようですが……言いかえると、
「適切な平面を抜き出して、平面図形の問題として処理していく」
のが基本手筋です。
空間図形の問題を勉強するときは、
どの平面を抜き出して考えるのか?
に注目していきましょう。
まずはこの平面に注目して、次はこっちの平面に注目して……
と捉えて、1つ1つを平面図形の問題として処理するのがキーです。
ポイント⑥ 結局、sin,cosって何のためにあったのか?
色々な見方ができます。
専門的な視点から言うと、
初等関数の一角として、色々なところに顔を出す重要関数だから学習した
という見方もできます。
ただ、この視点は数Ⅱの「三角関数」の学習コンセプトが近そうです。
受験数学の視点から言うと、
正弦定理、余弦定理を扱うため
とも言えます。
平面図形の計量で重要な2大定理ですが、この定理を記述するためにsin,cosが必要でした。
sin,cosがないと正弦定理、余弦定理が使えないとも言えます。
この2つが使えないと色々と困るので学習した、とも言えます。
この見方は一面では正しいと感じます。
とりあえず、
正弦定理、余弦定理を使いこなすのが目的の単元だった
と思ってOKです。
最後に、上級者向けの見方を説明します。
三角比の表を活用して、図形の計量を行うため
が、三角比の本来の立ち位置でした。
実際の入試問題を解く中で、
sinθ=1/3
となるのは困りものです。θの具体的な角度が分からないからです。
ですが、現実はこの値で十分なのです。
三角比の表と照らし合わせれば、
θは19°と20°の間らしい
ということが分かります。
三角比の表が精密であれば、もっと細かい近似値が得られます。
現実的には、本当に正しい数値での処理ではなく、
十分に正確な近似値があればOKな場面も多いです。
そういうときに、三角比は非常に心強い道具になります。
三角比の表は、
角度ごとに、直角三角形の長さを徹底的に調べた
表です。
この表があると図形の計算ができるということは……
直角三角形の長ささえ分かっていれば、平面図形の計算が便利になる
ということです。
『直角三角形の長さから、具体的に平面図形の計算をする』
手段として、正弦定理、余弦定理などを使ってきました。
そして、現実な近似値を得るために、三角比の表が整備されています。
この辺りの雰囲気が分かると、非常に原始的なアイデアが出発点になっていると感じられます。
直角三角形さえマスターすれば、図形は全部計算できるんだ!
だから、直角三角形の長さを「cos,sin」とでも書くことにしよう!
なんかこんな雰囲気だと思います。(たぶん)
色々と難しいことを学習してきましたが、
「三角比って何のため?」
の心はここにあると思います。
以上、三角比の最終回でした。